5月7日 編集手帳
日曜日の終わりが近づくと
、明くる日のことを考えて憂鬱(ゆううつ)になる。
勤め人や学生の誰もが覚えのある心の動きだろう。
自分もそうだという人がいつの時代にもいて、
サザエさん症候群やブルーマンデーといった言葉が命脈を保っている。
過ぎゆく休みを惜しむ気持ちが一層強まることだろう。
大型連休の最終日と重なる本日の日曜日である。
きょう一日を詩人になった気分で暮らすと、
少し変わってくるかもしれない。
『五月の歌』と題するゲーテの詩に一節がある。
〈草木みどりに花は咲きて/さつき楽しき月にしあれば…〉(片山敏彦訳)。
与謝野晶子も自作の『五月の歌』に綴(つづ)った。
〈ああ、五月、/そなたは、美くしい〉
〈そなたの為めに、/野は躑躅(つつじ)を、/水は杜若(かきつばた)を、/森は藤を捧(ささ)げる。〉
――詩のごとく5月を丸ごとたたえてみる。
その時間を惜しむのなら最終日まで先は長い。
詩心がなくとも5月の楽しみは尽きない。
鰹(かつお)がうまい。
ビアガーデンが始まる。何よりも過ごしやすい…。
どこに喜びを感じるかは人それぞれでも、
長い連休のみが5月の魅力にあらずとは断言できよう。
薫風はあすも吹く。