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北朝鮮の人権弾圧は そして非核化は?

2018-10-13 07:00:00 | 編集手帳

9月21日 編集手帳

 

 だれもいないはずの山奥で思いがけず人の足音を聞いた。
うれしいものだという。
荘子いわく
<空谷に逃るる者は、
 人の足音の跫然(きょうぜん)たるを聞きて喜ぶ>

故事成語【空谷の跫音(きょうおん)】である。
文字通り、
寂しく暮らすのは谷の辺りだろう。
どんどん高い方へ登ってしまっては、
その場所は遠ざかる。
韓国の文在寅大統領が北朝鮮の金正恩党委員長と連れだって白頭山(ペクトウサン)の頂に登った。
南北首脳会談の間、
文氏に谷底に目を向ける様子があったかどうか。

その場所にいる人たちの苦しみは、
言うまでもあるまい。
人権弾圧である。
むろん日本の拉致被害者も含まれる。

それにしても白頭山まで足を運ぶとはいかがなものだろう。
正恩氏の祖父、
金日成氏が抗日闘争で拠点とし、
その権力を継いだ金正日氏が産声をあげたとして、
金王朝が世襲独裁の宣伝に使う“聖地”である。
人道に反する抑圧がつづくのも、
そこに根がある。

非核化にしても慎重に見れば怪しさがぬぐえないなか、
米国のトランプ大統領はこんな言い方で賛辞を贈った。
「エキサイティングだ」。
谷底に足音を響かせることも、
今一度思い出してもらいたい。


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