10月4日 おはよう日本
今年は記録的な猛暑や豪雨などの影響が心配されたが
コメの作柄概況は全国平均で平年並みになるという見通しである。
その要因の1つとして
気象の変動に強い新たな品種が近年 次々と生み出されていることがある。
味や香りが最も優れているとされる“特A”のコメを生産した都道府県は
2017年は日本の東側に集中している。
品種の多くはコシヒカリだった。
ところが去年になると“特A”の生産地は全国に拡大した。
品種もコシヒカリ以外が多く占めるようになった。
去年 3つの品種が“特A”と評価された熊本県。
厳しい暑さに耐えられるコメの品種改良に取り組んできた。
その成果として売り出されたのが「くまさんの輝き」。
去年 販売が始まったばかりの新しい品種である。
その名の由来は
“熊本生まれたツヤ(輝き)の美しいお米”。
厳しい気象条件でも味の良いお米に育つのが特徴である。
この品種を開発した熊本県農業試験センター。
木下直美さんは新しい品種の生みの親である。
九州でこれまで広く栽培されてきた品種は
穂が出た後の平均気温が23℃を超えると品質に影響が出ていた。
近年それを超える日が増え
白く濁った白未熟粒(しろみじゅくりゅう)という品質の落ちたコメが多く混じるようになった。
そこで木下さんたちは暑さに耐えられる個体を15年にわたり掛け合わせ
耐えられる平均気温をこれまでより4℃引き上げることができた。
(熊本県農業研究センター 木下直美さん)
「平均気温が27℃を超えても
白未熟粒の発生が少ないと確認ができています。」
もう1つの特徴は
強風や大雨でも倒れにくいことである。
改良を重ね
稲の背丈をこれまでより平均4センチ低くすることに成功。
さらに1本の穂につくコメ粒の数を8割程度に減らし
茎への負担を軽減した。
風速80mの風が直撃しても茎がしなって風の衝撃を逃がすため倒れない。
ここ数年 記録的な暑さや大雨に見舞われた熊本県。
しかし生育状況は順調で
収穫のピークを迎える。
(木下直美さん)
「多くの人に食べていただいて
熊本県を代表する品種に育っていったら
うれしい。」
一方 コシヒカリの名産地である新潟県南魚沼市。
ここでもブランドを守るため
気象との戦いに本腰を入れ始めている。
もともと暑さに耐性がないとされてきたコシヒカリ。
ここでは今年およそ50日の真夏日を観測した。
暑さに加え雨も降らず
なかには枯れてしまう田んぼも。
そこで市が打ち出した対策が冬のあいだ道路の雪を解かす消雪パイプ。
夏の間も稼働させ
用水路を通じて水田に水を供給する異例の措置をとったのである。
もう1つの対策は肥料を与える時期を大きく見直すことだった。
通常コシヒカリは稲の穂ができる直前には肥料を与えない。
この時期に肥料を与えると
稲穂が成長しすぎて倒れてしまうおそれがあるからである。
高温に耐えられる体力をつけさせるため
測定器で稲の状態を毎日確認しながら投与していったのである。
9月21日
JAで収穫されたばかりのコメの品質検査が行われた。
コメの品質を調べた結果
味を決める成分では最高ランクの“S”が多く見られた。
収穫はまだ始まったばかり。
今後も検査を重ね
品質向上のための模索を続けていきたいとしている。
(新潟県農業総合研究所 有坂通展さん)
「まさに米の品種の戦国時代。
このなかで勝ち抜くには高温に負けないように技術でカバーしながら
このコシヒカリを守っていきたい。」
全国のコメがいち早く集まる米問屋。
猛暑や豪雨の影響を心配していたが
魚沼をはじめ各地から明るい報告が次々入ってくる。
「天気が悪かったけれども高品質なお米が仕上がっている。」
各地の猛暑対策をきっかけに
消費者にとって今後 コメ選びの幅は広がっていくと考えている。
(コメ販売店)
「各地でいろんなk症対策をしたり
たくさんの新しい品種が出てくる。
本格的な収穫と迎えるので
どんなお米が出てくるか楽しみ。」