日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

長崎 芥川賞作家が描く“核時代”

2018-10-29 07:00:00 | 報道/ニュース

10月4日 おはよう日本


今年8月 文芸誌に掲載された青来有一さんの新作。
小説の部隊は長崎市の原爆資料館である。
今夜
第45代アメリカ合衆国大統領
ドナルド・ジョン・トランプがここを見学する。
小説では
アメリカのトランプ大統領が極秘に被爆地長崎を訪れ
原爆の被害を知るという物語が展開する。
作り話だが現在の核兵器をめぐる情勢や
長崎が抱える課題がリアルに書かれている。
そのタイトルは
「フェイクコメディ」
偽の喜劇である。
北朝鮮をツイッターでののしる大統領。
一転
相手を立派な人物だとほめあげ
史上初の首脳会談を実現してしまう大統領。
核兵器のボタンを握る超大国の大統領に
トランプ氏が就任したときに感じた“危うさ”が
青来さんが小説を書く気賭けだった。
(青来有一さん)
「トランプ大統領を中心とする世界の核をめぐる情勢は本来は重苦しくつらい話しであるのに
 安直な形で考えることができてしまう。
 それ自体がフェイクなんじゃないか。
 本当のコメディじゃなくて
 笑える状況じゃなくて
 もし笑っているとしてもその笑いは凍りつくかもしれませんよ。
 その意味でのフェイクというメッセージを込めて書いた。」
核兵器を保有する為政者に核攻撃をためらわせることができるのではないか。
小説では
原爆資料館館長である“わたし”が案内役として大統領に原爆の恐ろしさを必死に訴える。
破壊された長崎の街を写した写真を見せると
“これは我が軍が撮影した写真だな”
胸を反らせる大統領。
長崎に投下された原爆の模型を前に
ポーズを決めて写真を撮り始める大統領。
一発の原爆によって生涯苦しめられた人たち。
館長である“わたし”は最後に被爆者の思いを大統領に語り掛ける。
しかし
この資料館はすばらしい施設ではないか。
核兵器の偉大な力を分かりやすく紹介している。
きみに感謝する。
核に対する価値観の違い。
青来さんは核軍縮をめぐる世界の現状を大統領と館長とのやりとりに重ねた。
長崎原爆が投下されて73年。
「核なき世界を実現するには核についての多様な考えに触れ互いに議論していくことが重要だ」
と話す青来さん。
今回の小説がその解決策を探るきっかけになってほしいと考えている。
(青来有一さん)
「大事なのは現実に押し流されないこと。
 当たり前だと思うことを当たり前だと思わない。
 もしかしたらそうじゃないのではという
 ある種の想像力なんだと思う。
 核の問題は専門家の方が出て解説があって
 非常に難しいという気持ちも持ちますし
 一方で被爆の経験に関しては非常に凄惨で重い話だから
 なかなか自分たちがそのことに対して言うことも出来ない。
 思わず黙り込んでしまう。
 日常の中で自分はどう思うとか
 どんなふうに考えるかというところにある種の自由さはある。
 少なくともその自由を行使しないと
 世の中が変わらないのかなと思う。
 そういった意味でのこの小説がきっかけになればいいと思う。」


 

コメント