10月2日 おはよう日本
巨大な戦艦やロボット
精巧な作りの洗車。
これらは信楽焼でできた作品である。
斬新な作品を作ったのは信楽の若手陶芸家たち。
去年 20~30代の5人が集まって
作品を展示・販売する会を信楽で初めて開いた。
会を主催したのは窯元の3代目 奥田大器さん(37)。
(陶芸家 奥田大器さん)
「単純に好きということ。
焼き物とサブカルチャー・オタク的な商品を一緒にした作品や催しができないかと。」
奥田さんは普段は自分の窯元で
壺やカップなど
祖父の代から受け継がれてきた信楽焼の作品を作っている。
進学などで信楽を離れていた奥田さん。
家業を継ごうと思った時に
信楽焼を取り巻く状況に危機感をおぼえたと言う。
(奥田大器さん)
「帰ってきたときには
陶器の世界というのは物がなかなか売れないと。
全く違うものもやっていかなければならない。
何か取り組んでいかなければならない。」
それ以来
スマートフォン用のスピーカーなど新しい商品を作るようになった。
もっと新しいものを作りたい。
そこで生まれたのがオリジナルのロボット。
一緒に作ったのは同じ信楽焼の窯元 谷陶拓さん(30)。
目が粗いことで生まれる
信楽焼のざらざらした感触や独特の風合いがロボットにぴったりだと考えた。
(奥田大器さん)
「焼き物でこういうことができるんだぞということ
こんなものを作っている人がいるんだなと。
じゃあ一度 信楽焼や焼き物を見てみようという
きっかけになったらうれしい。」
もともとロボットアニメが好きだったふたりは
ロボットの名前や性能
時代背景などの設定にもこだわった。
地球新世紀0065年
世界は7つの国家連合に分かれ
終わりのない戦争の世紀に突入
鉄の世界的欠乏により
セラミックで作られた特殊戦車兵器
スティールメイト
ロボット作りは
型に粘土を流し込み
パーツを作るところから始める。
(陶芸家 谷陶拓さん)
「とにかくパーツが細かいのと
型が繊細なので
欠かさないように
なおかつ隅々まで力が入るようにする。」
パーツは約15。
ふだん作っている作品の3倍以上である。
パーツのつなぎ目が残ったまま焼くと割れてしまうため
つなぎ目を1つも残さないようにていねいに表面を伸ばすなど
基本の作業を徹底。
1年がかりで完成にこぎつけた。
(谷陶拓さん)
「信楽に今まであった技法を自分の作品を作れるように応用しているだけ。
奇抜な技とかは使っていないと思っている。
陶器に興味を持ってもらえるとうれしい。」
そんな奥田さんたちがいま準備を進めているのが
11月に開く2回目の展示・販売会である。
信楽を盛り上げようと話し合いを重ねている。
(奥田大器さん)
「みんなが欲しいと言って
列に並ぶようになるのが理想。
だからこそ それに少しでも近づくように挑戦する。」