8月16日 NHK「おはよう日本」
ジンギスカンの主役は肉やたれではなく鍋。
岩見沢市にあるジン鍋アートミュージアム。
展示スペースは8畳ほど。
全国各地から集めたジンギスカンの鍋が300枚以上展示されている。
手のひらサイズの直径13センチの可愛らしい鍋や
その10倍の大きさ直径1メートル30センチの
博物館曰く世界一大きい鍋も。
鍋を収集したジン鍋アートミュージアム館長の溝口さん。
Q.いつから収集?
「2005年から14・15年目くらい。」
溝口さん自慢の鍋は昭和31年考案の鍋。
えんとつのようなものがついている。
かつてジンギスカンは鍋を七輪にのせて焼いていた。
その火力をフタを取り外して調節するのである。
(ジン鍋アートミュージアム館長 溝口さん)
「集めると鍋にはいろんな形・機能があり
しかもそれが歴史を経るごとに変遷する。
自分の勉強としてもジンギスカン鍋は面白いと思っている。」
コレクションの鍋は肉を焼くのにも大活躍である。
月に1度 展示している一部の鍋でジンギスカンパーティーを開いている。
溝口さんが博物館をオープンさせたのは3年前。
そこにはふるさとへの思いがあった。
博物館のある万字地区はかつて炭鉱の街としてにぎわい
昭和30年代には約5,000人が暮らしていた。
しかし地区の柱だった炭鉱は昭和51年に閉山。
(ジン鍋アートミュージアム館長 溝口さん)
「炭鉱閉山後あっという間に町の人口が減る。
すごいショック。
ここで昔の賑わい
花見や運動会のあと必ずみなさんジンギスカンを食べていたから
そこで鍋の博物館を開く意味もあるかなと。」
賑わいを少しでも取り戻したいと
溝口さんはかつて食料品店だった実家を博物館にしたのである。
博物館から聞こえてくる不思議な音色。
この日コンサートが開かれた。
叩いているのはジンギスカンの鍋である。
(コンサートを企画 岩見沢ノイズサミット 吉田さん)
「博物館の鍋をたたいてみると全部音が違うのが面白い。」
(溝口さん)
「“たたかせてくれませんか”って申し出があった。
“え?”って思って
“これ面白いね”となり
“たたくのに鍋を使っていいから
ここでコンサートしましょうか”と。」
コンサートが最高潮に達すると観客全員にも鍋が配られた。
(訪れた人)
「面白いですね。」
「楽しい。
また来たいと思います。」
鍋すごくいい音。
たたかせてもらって。」
(溝口さん)
「鍋だけであんなに多彩な音楽とリズムできるとは思わなかった。
これは1つの収穫。
夏のいっときをこういうふうに過ごし
昔のにぎわい 再現できてよかった。」
鍋を通じてつながっていく人の輪。
溝口さんはふるさと万字でその輪を広げていく。