9月4日 NHK「おはよう日本」
アメリカのアンソニー・アービン選手。
男子自由形で東京オリンピックを目指している。
8月 自らの経験を子どもたちに伝えるため来日した。
アービン選手は19歳の時シドニーオリンピックの50m自由形で金メダルを獲得。
翌年の世界選手権ではあのイアン・ソープ選手をおさえて男子100m自由形で優勝した。
ところがその後10年余競泳の表舞台から姿を消した。
アービン選手に何があったのか。
(アンソニー・アービン選手)
「金メダリストになったけれど
思っていた理想と現実は全然違っていた。
それをなかなか受け入れられずに心を病んでしまった。」
黒人の父と白人の母の間に生まれたアービン選手。
アメリカで競泳は長く“白人のスポーツ”とされ
注目されたのは“ルーツが黒人”ということばかりだったのである。
泳ぐ目標が見いだせなくなったアービン選手は
22歳の若さで現役を引退。
やがてアルコールや薬物に依存し生活はすさんでいった。
(アンソニー・アービン選手)
「人生で困難や挫折を経験しない人なんていない。
そんなときは自分でもどうしていいのかわからない。
私も本当に苦しかった。」
どん底の日々に転機が訪れたのは競技から離れて7年後。
仲間に誘われ子どもたちに泳ぎ方を教えたときのことだった。
(アンソニー・アービン選手)
「子どもたちが水中で無邪気に楽しむ姿を見て
大事なことを忘れていたと気づいた。
まるで出口の無い日々に光がさしたようだった。」
泳ぐ楽しさを思い出したアービン選手は現役復帰を決意。
自らを駆り立て再び厳しいトレーニングに向き合った。
そして2016年のリオデジャネイロ・オリンピック。
(実況)
「アービンが勝った!
16年ぶりの金メダル!」
競泳史上最年長
35歳での金メダル。
奇跡の復活を果たした。
(アンソニー・アービン選手)
「1位になったと分かった瞬間
支えてくれた人たちの顔が頭に浮かんだ。
挫折もあったが
今はその日々にも感謝している。」
アービン選手はトレーニングのかたわら
立ち直るきっかけをくれた子どもたちへの恩返しにと水泳の楽しさを伝えている。
「水の中ではひざや足首を曲げず
1本の竹のようにしならせることが大切なんだ。」
(指導を受けた子)
「教えてもらったら少し泳ぐのが楽になりました。」
「プレッシャーに打ち勝つやり方を教えてもらったので生かしたいと思います。」
(アンソニー・アービン選手)
「水泳の上達は終わりがない旅と一緒。
いつも新たな発見がある。
皆さんもその旅に加わってくれてありがとう。
自分の金メダルを目指そう!」
子どもたちの声援を背にアービン選手は39歳で東京オリンピックに挑む。
Q.東京五輪で金メダルを目指す?
(アンソニー・アービン選手)
「もちろん!
どんな結果になろうともね。」