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アンゴラ 中国の融資 光と影

2019-09-19 07:00:00 | 報道/ニュース

8月27日 NHKBS1「国際報道2019」


アンゴラの首都ルワンダ。
1975年にポルトガルから独立してから30年近く。
豊富な石油資源の利権をめぐって政府軍と反政府勢力の間で激しい内戦が続いた。
しかし今その面影は全く無い。
ポルトガルの統治時代をしのぶ古いビルは次々取り壊され
真新しい高層ビルの建設が進んでいる。
石油の輸出に支えられ
経済成長率は2000年代には年率10%を超え15%を超えた年もある。
富裕層や中間層も誕生している。
(市民)
「ビル 住宅 娯楽施設
 どんどんできてるわ。」
街のいたるところで目に飛び込んでくるのは中国語の看板である。
アンゴラには合わせて450以上の中国企業が進出。
特に象徴的なのが大規模なインフラ開発である。
5000ヘクタールの敷地に建設された700棟ものマンションビル。
一部の裕福なアンゴラ人のために全く新しい都市が丸ごと作られているのである。
アフリカで最大規模とされるこの住宅開発。
総事業費35億ドル(3,800億円余)。
全て中国からの融資である。
中国企業が建設している郊外の大規模な住宅街の中心通りでは
道路標識も東や西の方角が中国語で記されている。
学校や商業施設のほか独自の発電所や浄水施設
それに交通網も整備され
すでに7万人が暮らしている。
今後さらに拡張される予定で
将来的には20万人が暮らす新都市が出現する。
住民の1人 エンジニアのサンバさん(39)は妻と5人の子どもの7人家族。
6年前に広さ120㎡の3LDKのマンションを約800万円で購入。
20年のローンを組んだ。
(サンバさん)
「このキッチンは中国人が作った。
 これも中国製だよ。」
「ポルトガルとブラジルの建設会社の住宅は非常に高い。
 中国の参入はいいですね。
 家を持つという夢がかなった。」
しかしこうした開発をを支える融資の裏には大きなからくりが用意されていた。
インフラ整備のための中国からの融資で
多くの場合担保となっているのがアンゴラの唯一ともいえる輸出品の原油である。
中国からの多額の融資はアンゴラでのインフラ建設などに使われる。
しかしその工事を受注するのは多くの場合地元の業者ではなく中国企業である。
多額の債務を抱えることになるアンゴラは
原油を売り捻出した外貨を債務の返済に充て続けなければならない。
その原油を多く買っているのも中国なのである。
中国にしてみると
融資した資金は戻ってくる上に
企業にも還元され
さらに原油も手に入るという仕組みなのである。
Q.原油での編成は国にとって負担?
(アンゴラ アゼベド石油相)
「その話には詳しく立ち入りたくないが
 我が国は返済の義務は果たすしかない。」
こうした融資による借金が膨らみ続けるなか
そのしわ寄せは国民生活を直撃。
高層ビルの建設が進む中心部のすぐ横にはトタン屋根の住宅が未収するスラム街が広がっている。
一部の国民が豊かさを享受する一方
国民の30%は1日1,9ドル以下で暮らす貧困層である。
アンゴラの債務の返済はいまや利息だけで国の支出の12%(約3,300万ドル)に達している。
これは医療と教育のそれぞれの支出を上回っていて
国の財政を圧迫しているのである。
(市民)
「中国の投資の恩恵は企業や金持ちだけで
 私たちは全く感じていない。」
こうしたっ融資にサインしてきたのがドスサントス前大統領である。
40年近い長期政権により腐敗が横行。
各国がアンゴラへの融資を渋るなか積極的に融資をしてきたのが中国だった。
地元の経済の専門家は
こうした融資が中国に有利な条件で行われたと批判する。
(カルロス・ロサド氏)
「石油が担保できたからこそ
 中国はリスクを承知で融資をした。
 お金は全くアンゴラには落ちない。」
一方でここにきて変化も起きている。
ドスサントス氏は長期政権や中国との関係に批判が高まり
一昨年 退陣に追い込まれた。
新たに就任したロウレンソ大統領は
これまでの中国依存からの脱却を目指して
他の国や国際機関からの融資を受ける方向に転換しようとしている。 
中国企業が担っている新空港と鉄道の工事にも
膨れ上がった事業費を問題視して
工事のストップと見直しを命じた。
こうしたなか政府関係者からは日本からの投資に期待する声も上がっている。
(アンゴラ アゼベド石油相)
「日本企業はすでにさまざまな産業に進出している。
 石油産業への進出も期待している。」




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