日暮しの種 

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四季よ、穏やかに移れ

2019-12-03 07:00:00 | 編集手帳

11月7日 読売新聞 編集手帳

 

夏目漱石『三四郎』で、
三四郎がほのかに恋心を寄せる美禰子に出会う場面は、
美しい描写で知られている。

<上から桜の葉が時々落ちてくる。
 その一つが
籃バスケットの蓋の上に乗った。
 乗ったと思ううちに吹かれていった。
 風が女を包んだ。
 女は秋の中に立っている>――
落ち葉を散らすや、
運び去る強めの風が吹いている。
秋も終わりにさしかかる今時分の描写であるらしい。

もし北よりの風でかつ毎秒8メートル以上であれば、
現在は気象庁が東京と近畿で観測の対象にしている。
木枯らしである。
さる4日、
近畿に木枯らし1号が吹いたという。

昨年の12月1日、
気象庁が発表した“異変”を思い出す。
「東京地方では39年ぶりに木枯らし1号が吹きませんでした」。
期限の11月末までに条件を満たす風が観測されなかったからだ。
例年なら冬への季節の変わり目を分かりやすく肌身に教えてくれる大気の動きだろう。

あす立冬を迎える。
思えば今年は高温や大雨が続いて、
いつ夏が終わり、
秋が来たのかよく分からなかった。
四季は以前の規律を取り戻し、
穏やかに移ってほしいものである。
北風よ、
冬よ。
もうすぐかな。


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メルカリが鹿島を買ったワケ

2019-12-02 14:33:00 | 報道/ニュース

11月6日 NHK[おはよう日本」


鹿島アントラーズの経営を支えていたのは住友金属
今の日本製鉄だが
この夏からメルカリが筆頭株主になり経営に参画している。
メルカリの会長であり
アントラーズの新社長 小泉文明さん(39)。
Q.なぜアントラーズだった?
(メルカリ会長 鹿島アントラーズ社長 小泉文明さん)
「メルカリは女性が多くのユーザー
 アントラーズでは男性40代以上。
 補完関係ができる
 非常にパートナーシップとして相性がいい。」
フリマアプリやスマホ決済などのITサービスを提供していて
設立からわずか6年で急成長したメルカリ。
利用者は20代女性など若い世代が中心だった。
そこで目をつけたのが
実力とともに熱烈な地元ファンを持つ鹿島アントラーズだった。
チームを支える幅広い世代のファンにサービスを使ったもらい
利用者の拡大を図ろうとしたのである。
まず取り組んだのは
スタジアムの売店全てにスマホ決済を導入することだった。
「お支払方法は?」
「メルペイで。」
(観客)
「すぐ支払いできるので便利。」
スタジアムに来るあらゆる世代にキャッシュレス決済を普及させたい考えである。
(メルカリ会長 鹿島アントラーズ社長j 小泉文明さん)
「スマホひとつあれば現金を出さなくてもペイメント(支払い)ができる。
 そうすることで行列を少しでも緩和したい。
 鹿島の地域をモバイルペイメント(スマホ決済)の新しい実験場にして
 このモデルを日本全国に持って行く。」
さらに小泉さんはクラブの運営面でもメルカリ流を持ち込もうとしている。
まず驚いたのが必要なハンコの数だったという。
そこでハンコを廃止し
パソコン上で出張先などからも決裁を受けられるようにした。
こうして業務のスピードアップを図っている。
(メルカリ会長 鹿島アントラーズ社長 小泉文明さん)
「テクノロジーを使う会社からすると
 非常に古い仕事の進め方。
 もう少し変えたら生産性が上がる
 もしくはお客様に喜んでいただける。
 いくつかの気づきのポイントがある。」
IT企業で培ったノウハウでチームを変えようとしている小泉さん。
将来サッカーを中心とした
これまでにない新しいビジネスモデルを生み出したいと考えている。
(メルカリ会長 鹿島アントラーズ社長 小泉文明さん)
「アントラーズがあなたのそばにいる
 そういう形にしたいと思う。
 例えばアントラーズが老人ホームを経営してもいいと思う。
 フットボールをやる会社から
 ライフスタイルを売る会社に進化したい。」
  


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「本の街」 神保町のおもてなし

2019-12-01 07:00:00 | 編集手帳

11月2日 読売新聞「編集手帳」


 東京・神保町は古書店が並び立ち、
「本の街」として知られる。
何年か前のことだが、
レジですこしばかり驚いたことがある。

店員さんに本を渡すと、
パラパラとめくってページの開き具合を調べたり、
奥付をのぞいて発行年を確かめたり…次に包装紙を引っ張り出す。
本を空気の隙間がないように包み込み、
受け取るときは駅で買う弁当のような姿でレジから出てきた。

古書は接着剤が弱まると持ち運ぶ際に崩れることもあるため、
しっかり
梱包こんぽうするのだという。
丁寧な仕事ぶりに感心させられた。
神保町は今、
読書週間恒例「古本まつり」の最中だが、
そこにいささか残念なニュースが流れた。

東京五輪のマラソン・競歩が札幌に移ることが正式決定した。
商店会では猛暑と沿道の応援の人出を見込み、
涼のとれる「ミストシャワー付きベンチ」を先ごろ設置したばかりだった。
屋根付きのそれはスギやヒノキで造られ、
外観にも趣向を凝らす。

資金集めなど設置に奮闘した方々はどんな思いだろう。
町に根付くおもてなしの気持ちが、
大会開催のレガシー(遺産)として人の心に残ることを願わずにいられない。

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