
「生きる力」とは、自分の生き方を大切に思い、日常生活で起こるさまざまな問題に対応していく力であろうと考えます。困
難なことにへこたれず、自分の感情をコントロールでき、他者の感情とうまくつきあう力であるともいえます。
本来、子どもはそういった力の芽を内側に内在させています。しかしそれは、引き出し、育んでいかないと、ものごとに対して活用できる力とはなりません。
子どもの引き出し、育んでいくためには・・・
①子どもの存在を無条件で受け入れることから始まります。子どもは肯定され、愛されてこそ、力を発揮していきます。子どもを信じ、まかせることです。ただし大人は、子どもから求められたときには、最小限の支援を行います。
②自分の毎日を自分の力で生きることが必要とされます。これは子ども自身が請け負う「責任」であるといえるでしょう。
思春期とは親から離れはじめる時期です。いつまでも親が「これはこう、あれはこうして」とかかわっていれば、子どもは自分の「責任」を果たすことができにくくなります。
③他者の役に立つ喜び(貢献感)を味わう体験を積むことも、「生きる力」につながります。人の役に立つ喜びを知っている人は、人とつながろうとします。人間関係を豊かにひろげていくことができます。
そして学齢期を過ぎた頃には、「働く」という行為で人の役に立つ営みを続けていくことになります。
私たち大人が、忘れてはならないことは、大人が思春期の子どもの力を育てていくというよりは、子どもが内在している力を引き出し、子どもみずからを力強くしていく手助けをすることです。
このように考えると「子育てとか教育とは、教えるというよりは引き出すことである」ということばの意味の深さが理解できます。