映画「ちはやふる 下の句」を観ました。上の句も以前に観ています。
「千早ふる(ちはやふる) 神代も聞かず 竜田川 韓紅に(からくれないに)水くくるとは」
(在原業平)
[訳] 不思議なことが多かったという神代でも、こんなことは聞いたことがない。竜田川の水を、紅葉(もみじ)の葉が紅(くれない)にくくり染めにするなんて。
「ちはやふる」は神にかかる枕詞ですが、映画での解説によると、例えばこまが速くまわり、まるで消えて止まっているような状態をいうとのことです。
それに対し、「荒振(あらぶ)る」とは、こまが雑にまわり、不安定な状態という意味です。こまはいつ止まるかわからないそうです。
千早振るこまの回転は、静止しているように見えても、その回転は猛烈に回っており、まわりのどこからでも触れれば触れたものが弾きかえされる力を持ちます。
千早振る状態は、旋回によって生まれた中心軸が、周囲へ向かってエネルギーを放射し、中心に向かって吸収する力を兼ね備えているとのことです。
「ちはやふる」はわたしたちが目指すべき姿であり、生きて動いていながらエネルギーを発して 、吸収もする。
このような人の生き方に通じるものです。
さて、映画の主人公・綾瀬千早(=広瀬すず)は、ちはやふる勢いで、瑞沢高校かるた部のメンバーてして、かるた(百人一首)の大会の個人戦でかるたクイーンと対戦します。
詩暢は松岡茉優扮する最強のかるたクイーンで、「団体戦はかるたが好きでない者がするもの。ほんとうにかるたを極める者は個人戦にしか出ない」と言い放ちます。
しかし、千早には、彼女を応援する瑞沢高校かるた部の仲間がいます。仲間に支えられ、励まされ、カッと目を見開いた千早はかるたクイーンに果敢に挑んでいきます。
学校の教師である私には、やはり仲間の大切さを痛感していますので、クイーンの生き方よりも、綾瀬千早の態度に共感しました。
ところで、高校でかるた部がある学校はさほど多くはないですが、近隣では大阪府立吹田東高校は全国大会にも出るほどの活動をしています。
「ちはやふる」は三中の子にも、ぜひ観てほしい映画です。できるなら、GWの間にお子さんを連れて観に行ってください。