基本的に、親の役割は、子どもを自分の思うようにすることではなく、子どもが自分で学びとる環境や条件を整備したりすることです。
子どもが自分で、生活や人生を何とかできるように力を伸ばしていくのを支えることです。
去年の入学式でも触れました。たとえば、おなかがすいている子どもがいたとしましょう。あなたは魚を釣ってあげますか? それとも魚の釣り方を教えますか?
魚を釣ってあげるのは、子どもをなんとかしようとして、親が子どもの代わりに活動するHELP(ヘルプ)です。
ヘルプは子どもが乳児・幼児の時にはたいへん必要なかかわり方です。この時期では、子どもはたっぷりと親に依存することが必要だからです。
一方、魚の釣り方を教えるのはSUPPORT(サポート)です。魚の釣り方を教え、そのあとは子どもが自分で魚を釣るのを見守ります。
このとき子どもは様々なことを学びます。釣るタイミングが合わなければアタリをしっかり見ようとします。少ししか釣れなければ餌を替えてみようとします。魚が食い渋っているときにはじっと我慢して待とうとします。
このようにして子どもは、人生が自分自身のものであることを知り、よりよいやり方を考えます。子どもは、この学びのプロセスを通して強く、たくましくなるのです。
思春期の子に対して、親がすべきことで必要なことは、いうまでもなくサポートです。ヘルプではありません。
サポートを受けながら子どもは、ときとして目を輝かせながら、また時としてつらくて涙をこぼしながらも、自分の生き方をつくりあげていきます。たいへんでも、最後は自分で引き受け、自分で問題を解決することを学んでいきます。
子どもが中学生の場合でも、時と場合によってはヘルプが必要なこともあるでしょう。
しかし、子ども本人が自立していく力を蓄えていくために親がすることは、圧倒的にサポートである場合が多いことを心得ておき、実行していきたいものです。