
思春期の中学生は、学習以外にも熱中できるものをもつことは重要です。この熱中できるものに関しての親子の会話ができるからです。
熱中できるものは、いわゆる「趣味」ともいえるものです。将棋、ゴルフ、自転車、バイオリンなどは、先日卒業した3年生がやっていました。
それら以外に、ゲームアプリ、飛行機マニア、鉄道マニア、アイドルオタク・・・。本人が没頭できるものなら何でもいいのです。
中学生にとって、これらのものは、自分を支えてくれます。
ところで、基本的に、中学校は小学校と違い、友だちとの差が見えやすい仕組みになっています。
中学生になると、よく親に言います。
「おかあさん、ボクって勉強できると思っていたけど、もっとできる子がいるわ」
「おとうさん、私はバスケットがうまいと思っていたけど、超うまい子がクラブにいるねん」
このように友だちとの差が見えやすいのは、小学校と比べていいとか、よくないという話ではなく、学校のしくみがそうなっているのです。
定期テストでは、自分の学習が点数となって返ってきて、友だちは何点ということがわかります。
部活では、ふだんの練習でうまい子のプレーを目にします。また、レギュラーになれる、なれないなどはっきりします。
これらのことから、さまざまな調査結果にも表れていますが、中学1年生で、小学生時代に高まっていた自分への自信(自尊感情といいます)は、大きく下がるのです。
もっとも、この自信は中学3年生に近づくにつれて上昇していきます。「自分は自分だから」と捉え、その中で自分がどうやっていくかと、気持ちに折り合いをつけて自立に向かうからです。
ただし、「自分は自分だから」と思えるまで、中学生の心情や気持ちは揺れに揺れるのです。これが思春期です。
この時期に、かたわらで見守る大人の役割が大切になります。
その時、冒頭で述べた学習以外に熱中できる趣味を子どもがもっていると、親子の会話が弾むのです。
子どもが何を願っているのか、どんな点にしっくりいかないのか、苦しんでいるのか・・・?
それらを知るきっかけは、子どもが関心をもっていることを共有することにあります。子どもが相談しやすくなります。
思春期には、子どもはある意味の「つまづき」に直面します。どんなときでも、大人は子どもとつながっていたいのです。