白洲次郎(しらすじろう)という人をご存知でしょうか。
終戦後に活躍した吉田茂首相の側近の中でも第一人物として、日本の戦後処理にあたり、GHQから当時「従順ならざる唯一の日本人」と呼ばれたのが白洲次郎でした。
彼が、GHQから一目置かれたのは、イギリスでの留学経験をいかし、堪能な英語を話すことができたからというのが理由の一つです。
さて、以下は、白洲次郎がケンブリッジ大学で学んでいた頃の話です、
あるとき、白洲次郎は物理のテストでとても低い点数を取りました。解答した内容は悪くないはずなのに、なぜか低い点数でした。
けげんそうに答案用紙をよく見ると、そこには採点した教授からのメッセージが書かれていました。
そのメッセージにはように書かれていました。
「あなたの答案には、自分自身の考えが一つも書かれていない」(There are no your own thoughts in your answer sheet.)
ケンブリッジ大学では、当時から教科書を丸写して書いたような解答は評価の対象にならなかったのです。
白洲次郎は、このメッセージを読み、「なるほど」と納得しました。次のテストでは、自分の意見を書いて高い点をもらったそうです。
(「1分で心に効く 50の名言とストーリー」 西沢泰正(大和書房)より)
いまの子どもたちに求める学力観は「自分で考え、判断して、表現する」がキーワードです。
授業でも、
①学習のめあてが最初に提示されます。
②そして発問があり、答えを自分で考える。
③友だちと考え方を交流しあい、自分の考えをさらに深める。
④自分考えを発表する。
⑤最後に学習のめあてに沿って学習をふりかえる
この①~⑤のプロセスとりいれた学び方を、「アクティブ・ラーニング」といいます。
国では、この学習過程を踏まえた授業づくりを、全国の小中学校に推奨しているのが現状です。
それはいいのですが、自分で考えること、さらには、考え方や意見を発表することには、日本人の伝統的な思考行動習慣では、けっこう高いハードルです。
インターネットで調べて答えを書く場合もあるでしょうが、間違った情報をひっぱってくる場合も多々ありますので、注意が必要です。
そして、その解答には、自分の深い考えが盛り込まれる必要があります。
自分で考えることは、今後もますます私たちに求められることになるでしょう。