三中では、いま、干し柿を作っています。
柿を見ると、自分の少年時代を思い出します。
ときは、高度経済成長の時代でした。
日本社会は、活気に満ちていました。
努力すれば、今よりいい暮らしができるという展望がありました。
ある意味で、科学は万能だと、思えました。
そんな中で、少年時代を過ごしました。
能勢の田舎にも、科学万能の活気がありました。
でも、一方では、自然の中で育まれた私は、学校の帰りに友だちと柿をとっては、洗いもせず食べていました。
まだ、さほど食べ物やお菓子が多く巷に出ていないころで、そのときの柿は美味しかったです。
時々、食べると渋柿にあたり、顔をゆがめて吐き出したりしたこともあります。
家に帰ると.おばあちゃんが軒先に座り、渋柿の皮をむき、干し柿を作っていました。
「ああ、いま帰ったんか。おかえり」
「ただいま」
三中で干し柿を見ると、かわいがってくれたという感謝と情景が鮮やかに蘇ってきます。
まだ、物質的には、今ほど豊かではなかった。でもこころは豊かに少年時代を過ごしました。
昨今の自然災害のすさまじさを思うと、いくら科学が発展しても、大自然の力の前には、ひとたまりもない。
こう思います。