最近、芸術や芸能の世界では、セクハラやパワハラの訴えが相次いでいます。
練習場やスタジオという「閉じられた空間」で、指導者と生徒、先輩と後輩といった上下関係のある人だけでレッスンが行われていることが、ハラスメントが生まれる原因の一つと考えられます。
舞台芸術の世界では、幼少期から演技やダンスを学ぶことが多くあります。
長年続く師弟関係に基づくハラスメントが起きると、それが指導なのかハラスメントなのかを受けている側が判断しにくくなる場合があります。
監督・演出家のなかには、演劇の世界で、俳優を練習で極限まで追い込むことで良い演技を引き出そうとする人もいます。
追い込まれた側が「おかしい」と思っても、客観的に判断できる第三者がいない空間の中で、立場の違いから声を上げることができないのです。
被害者が指導者に、直接抗議したり交渉したりするのは難しいです。
そこで、相談窓口を開設され、弁護士を含む専門家が加害者に対してものを言えるようなしくみをつくる必要があります。
国や公共劇場はこうした取り組みを積極的に進めていくべきです。
業界全体で人や資金や知恵を出し合い、俳優を守るしくみつくりが、いま喫緊の課題です。