青少年や若年層による凶悪犯罪が増えている。
そう聞いたとき、その通りと思う人は少なくないのではないでしょうか。
しかし、実際には、10〜19歳の刑法犯の数は2003年に1265人/10万人だったものが、2021年には186人/10万人となり、約20年間の間に大幅に減っています。
私たちはいかに「印象」でものを言っているかということになります。
「いまどきの子はモラルが低下している」などの指摘がいつの時代もなされます。
学校にいればわかるのですが、中学生の非行と言えば、昔はバイク窃盗、校内喫煙、器物破損、暴力などが生徒指導上の大きな課題になっていました。
しかし、いまの中学校ではそのような問題行動はほとんど起こらなくなりました。(その反面、いじめや不登校は増えています。)
わたしは、むしろ今の若い子はけっこう柔軟な発想ができたり、豊かな感性をもっていたり、社会貢献の意欲が強かったりする傾向があると思っています。
メディアは一つ大きな刑法犯が起こると、よってたかってそれをとりあげ、報道します。
そして、いかにいまの若者は問題が多いかというイメージや印象をつくりあげ、思い込みができあがるのです。
そもそも人はポジティブなイメージより、ネガティブなイメージの方が記憶に刷り込まれやすいという傾向も、いまという時代の捉え方の歪みをもたらすように思います。