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昨年は新型コロナウイルスの報道・話題で、メディアが埋め尽くされた1年でした。
さて、私の家の近くには、バーベキューができるキャンプ場があります。
そのキャンプ場では、この冬はちょっと変わった光景を目にするようになりました。
従来は、冬季にはキャンプ場は営業せず、4月1日まで閉鎖されていたのですが、この冬はお正月も営業をしていました。1月9日・10日・11日の連休の間も、煌々と灯りが点在しているのが見えました。
夜間にテントを張り、灯火がいくつも灯っていました。最近は暖房の設備も整い、寒くても宿泊が可能になったそうです。
新型コロナウイルスの感染が広がるなか、キャンプやバーベキューを楽しむ人たちが宿泊する人が増えたのでした。
つまり、新型コロナウイルスは、考え方によっては人びとに自然とのかかわりの大切さを気づかせたと言えるのです。
こう考えると、私たちに人と自然との共生という生活様式を再認識させたのがこのコロナ禍であると考えることができます。
ここ最近の度重なる自然災害にくわえ、コロナ禍は、私たちに自然環境・地球環境をもっと意識するようにという無言のメッセージを送っているかのようです。
おりしも、SDGsのキャンペーンが言うような持続可能な開発、持続可能な社会づくりに向けたメッセージであると受けとるべきでしょう。
この例をとってみてもわかるように、コロナ禍は、私たちの社会や世の中が向かっていた方向に、いったんストップをかけ、「いまのままでいいのですか」という問題を提起したと考えることができます。
また、新型コロナウイルスは、大人は会社中心、子どもは学校中心の社会に対して、「STAY HOME」(ステイホーム)という行動の変容を、人びとに促しました。
ステイホームは、「家族単位の集まりや小さな集団に回帰せよ」というメッセージを私たちに発することになりました。
そして、このメッセージは同時に、グローバルや広い世界に視点に目を奪われがちだった人びとに、「家族を大切にしなさい」「地域を見なさい」というようなローカルな視点を見直しさせる意味をもっていました。
そして、経済優先・効率優先・都市への集中化が進む社会への反動が起きたのでした。
さらには、新型コロナウイルスが「3密を避けなさい」と、私たちに求めたことは、考え方によっては、人と人のコミュニケーションがどうあるべきかを、見直しをさせたことになります。
ここ数年来、ずっと「コミュニケーションの重視」が求められてきましたが、その現代社会において、フィジカル・ディスタンス(ソーシャル・ディスタンス)をとりなさいという変更を要請しました。
そのため、オンラインを活用したコミュニケーションが急速に広まりました。
その一方で、私たちは、あらためて、人と人がスキンシップでかかわりあうコミュニケーションの大切さを確認することもできました。
とくに、保育の場では、幼い子どもと近い距離をもつことの重要性やとくに顔を中心とする表情を通したコミュニケーションの必要性を再認識させられました。
小さな子どもがいる保育の場は、効率化やデジタル化を優先する社会ではありません。
もっと身近な、家族や地域と人がつながり、人やいのち・自然を尊重する関係など、共生社会や持続可能な社会の必要性を発信したのが、保育の場であったと言えるでしょう。
このコロナ禍にあっても、一人ひとりの子どもやその家族とていねいにつながってくださる日々の保育は、この上なく尊く、重要な営みです。
コロナ禍の昨年1年間をふりかえり、この念を深く思う今日この頃です。
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