箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

「わたしはここにいる」が実感できる国に

2021年01月09日 08時33分00秒 | 教育・子育てあれこれ

どの組織や集団の中においても、リーダーの役割は重要です。

企業なら社長の役割、行政なら首長の役割、学校なら校長の役割、国なら首相の役割がどうであるかで、組織の行き先が左右されます。

その点で、ドイツのメルケル首相のリーダーシップが世界でも注目されています。

メルケル首相は、去年の3月、新型コロナウイルス感染が広がるなか、ドイツではじめてのロックダウンをする前に、ドイツ国民に対してテレビを通したスピーチをしました。

彼女は最初に守るべきは誰かを明言しました。
「社会的弱者を守る行動をとりましょう」と、国民に呼びかけました。

「それは、社会的弱者が感染しやすい現状があるからです。高齢者や既往症をもつ人が重症化しやすいことがわかっています。
だから、彼らや医療従事者、好ましくない労働条件で働く人びと、移民受け入れ施設でいっしょに住むたくさんの人びとを守りましょう。」

このように呼びかけました。
コロナ禍のなかで、何をするのか、なぜやるのかという理由をはっきりと示しました。

ですから、多くの国民の信頼を得たのです。

また、国民は人間の温かみを同時に感じとりました。

もと物理学者なので、冷静でわかりやすい話でした。くわえて、何としてでも、大切な国民を守ってみせるという、温かさを国民は感じました。

メルケル首相に関連して、グリュッタース文化大臣(文化相)は、「芸術家は、国民の生命維持に必要不可欠な存在」と演説をしました。

「ドイツという国のアイデンティティは、そこにあるからです。」

この言葉を聞いたドイツ国民は、「そうか、私たちはその国に暮らしているのだ」と感じることができました。

とはいうものの、現実はドイツも経済原理でき、芸術の面でもじっさいは「しわ寄せ」はあったようです。

でも、「芸術の制限もしかたがない」とあきらめることなく、それではダメであるという意識を政治家がもっていることだけでも立派だとわたしは思います。

リーダーは、どんな政策(対策・対応)をやるのか、科学的な根拠となぜするのかという理由を示してくれるのが役割だと思うのです。


コメントを投稿