箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

「内省」のすすめ

2021年11月03日 07時27分00秒 | 教育・子育てあれこれ



思春期の中学生が「自分を見つめる」ことは、とても大切です。

この「見つめる」ということは、自分の主観を取り除いて、あたかも第三者が自分を見ているように、過去の行為やできごとを、自分の感情とは別に客観的に振りかえり、自分の気持ちを分析することです。内省するとも言います。

内省は反省とはちがいます。

反省は過去を振りかえって、「○○ができなかった」というマイナス的・批判的な見方になりますが、内省はどちらかというと「○○ができた(できるようになった)」と気づくプラス面の効果があります。

その点で、内省は何がいけなかったのかを理解すると共に、どうすればいいのかに結びつく考えです。また、自分の心に素直になり向き合うことが大切になります。

たとえば、生徒の場合を取り上げ、例を示します。

以前の自分は人前で話すときにはあがってしまい、言いたいことの半分しか言えなかった。

でも、今回は多くの人を前にしても、緊張せず話すことができた。

なぜできたのだろう。たぶんそれは原稿を前もって書き、何度も何度も読む練習をしたので、話していても自然に次の言葉が出てくるほどだったからだろう。

やはり何度も練習すると、あがることは減らせるのかもしれない。

このように内省すると、自己の変化や成長を自分で考えることができます。

そこから本人の自信につながってくるのです。つぎも頑張ろうという意欲が生まれてきます。

これが教育の分野での振りかえりによる内省の効果です。

中学生には自分で内省できる場合もありますが、多くの場合はまだ成人ではないのでそこまで心が発達していない子が多いのです。

そこでおとな(教師)からの問いかけをきっかけとして考えることができるようになります。

この内省のできるのは、人がおとなになるほどできるようになるのです。

ただ、その場合、心をあまり見すぎるのはよくないとわたしは考えています。

人の心の動きは複雑で複合的で、今の自分の心を観察して、こんな状態だと見定めることは難しいのです。

ですから、あくまで起こった事実をもとに考えることが必要です。そして、できるだけ単純に考えることです。

心に目を向けすぎると、完璧を求めてしまい、なにか一つできなかったことが見つかると、それがどんどん大きく見えてしまうからです。

自分を見つめることができるようになるのが、大人になる一つの側面だと思います。


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