いまの中学生が一人になりたくない。「ぼっち」はイヤと思う気持ちは、よくわかります。
誰かとつながっていたい。
そんなにたくさんでなくてもいいから、気を許せる友だちといっしょにいたい。
現代は絆やつながりを求める人がたくさんいます。
しかし、そんな中学生に私はあえて、「孤独になる時間をもちなさい」と、機会があるごとに言ってきました。
そして、そのあとで、時と場合に、また生徒にあわせて、「ただし、孤立はよくないよ」と付け加えたこともあります。
私が「孤独になる時間をもちなさい」というのには、理由があります。
中学生は、自分を見つめることで、自らの変化と成長を自覚するからです。
過去をふりかえり、過去のできごとを意味づけることができるようになるのです。
あの頃、苦しかったけど、あの苦しさがあったから、私はちょっと強くなれたみたい。
自分を見つめるには、孤独にならないとできません。
気の合った友だちと、今さえ楽しければと、群れていたのでは、自分のことを深く考えたりはできない。
だから、孤独になる時間をもつのです。
また、わたしが孤独が大切と言うようになったのは、もと大阪大学学長の鷲田清一さんの講演を聴いてからでした。
苦しみや悲しみから少し離れて、自分自身をちょうど他人がみているように、客観的に見つめるようになります。
作家五木寛之さんの思想にも影響を受けました。
五木寛之さんは、孤独になることの大切さを「和して同ぜず」という言葉で表しています。
組織の中で同僚と話していて、自分は考えがちがうので交わらないという人は孤立が深まります。
私はフレンチは嫌いで、和食が好きだから話に入らないのではないのです。
組織の和を大切にしながらも、自分は突き詰めれば一人であるという自覚をもっていることが、「和して同ぜず」という意味だと、五木さんは解釈されています。
中学生も一人になる時間をもち、孤独になり、自分を見つめる時間をもってほしいと願っています。
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