箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

孤独のすすめ

2019年11月18日 07時49分00秒 | 教育・子育てあれこれ







いまの中学生が一人になりたくない。「ぼっち」はイヤと思う気持ちは、よくわかります。

誰かとつながっていたい。

そんなにたくさんでなくてもいいから、気を許せる友だちといっしょにいたい。

現代は絆やつながりを求める人がたくさんいます。

しかし、そんな中学生に私はあえて、「孤独になる時間をもちなさい」と、機会があるごとに言ってきました。

そして、そのあとで、時と場合に、また生徒にあわせて、「ただし、孤立はよくないよ」と付け加えたこともあります。

私が「孤独になる時間をもちなさい」というのには、理由があります。

中学生は、自分を見つめることで、自らの変化と成長を自覚するからです。

過去をふりかえり、過去のできごとを意味づけることができるようになるのです。

あの頃、苦しかったけど、あの苦しさがあったから、私はちょっと強くなれたみたい。

自分を見つめるには、孤独にならないとできません。

気の合った友だちと、今さえ楽しければと、群れていたのでは、自分のことを深く考えたりはできない。

だから、孤独になる時間をもつのです。

また、わたしが孤独が大切と言うようになったのは、もと大阪大学学長の鷲田清一さんの講演を聴いてからでした。

苦しみや悲しみから少し離れて、自分自身をちょうど他人がみているように、客観的に見つめるようになります。

作家五木寛之さんの思想にも影響を受けました。

五木寛之さんは、孤独になることの大切さを「和して同ぜず」という言葉で表しています。

組織の中で同僚と話していて、自分は考えがちがうので交わらないという人は孤立が深まります。

私はフレンチは嫌いで、和食が好きだから話に入らないのではないのです。

組織の和を大切にしながらも、自分は突き詰めれば一人であるという自覚をもっていることが、「和して同ぜず」という意味だと、五木さんは解釈されています。

中学生も一人になる時間をもち、孤独になり、自分を見つめる時間をもってほしいと願っています。







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