わたしは学生の頃、ヘミングウェイの『老人と海』を読み、この作家を知りました。
ヘミングウェイは、アメリカの作家でしたが、ほかの小説に『日はまた昇る』があることを知りました。
この小説を読む機会がなく、今にいたっています。
しかし、当時『日はまた昇る』という名前を聞いただけで、わたしは前向きなイメージをもっていました。
暗くなり、たとえ日が沈んだとしても、希望の太陽がまた昇ってくると、ポジティブなイメージをもったのでした。
しかし、最近になり、ヘミングウェイの研究者である関西学院大学の新関芳生さんの見解を読んで、わたしの持ったイメージが正反対であることを知りました。
初めて経験した世界戦争(第一次世界大戦)によって、若者たちは精神的にも肉体的にも傷を負い、信じるものを失ってしまった。
そんな姿を描いているのが、『日はまた昇る』なのです。
小説の巻頭にヒントがあります。
「あなたたちはみんな、ロスト・ジェネレーション」というヘミングウェイの文学の師、ガートルード・スタインの言葉が出てきます。
ロスト・ジェネレーションとは「第一次世界大戦によって進むべき方向を見失った世代」のことです。
続いて「日はまた昇り、また入る」と、題名の由来となる聖書の言葉があります。
この引用が意味するところは「この世に新しいものなどなく、永遠にグルグル回り続けるだけ。希望は見えない」ということだそう です。
同じ言葉でも、別の捉え方をすることで、さまざまな意味に解釈できるのです。
本の魅力とは、言葉をみてさまざまな解釈をして、自分が経験していない違う世界に入ることができるという面白さがあるのです。
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