新型コロナウイルス感染拡大防止のため、今年度、ほとんどの大学は4月からの前期講義を遠隔授業で実施しました。学生はキャンパスに出向かず、自宅で授業を受けました。
(後期は、オンラインと対面を併用している大学が多い。)
また、自粛要請に伴い、営業をとりやめたり、営業時間を短縮した店が多く、大学生のアルバイトが激減しました。
これにより、学費が捻出できない、大学生活を楽しめないなどの影響を受けた学生は、大学を中退するのではないかという懸念が問題になっていました。
このたび、文科省は10月中旬になって、今年の4月から8月の中退率を発表しました。
それによると、今年の中退率は0.38%で、昨年同期の0.48%を下回りました。
このことから、新型コロナウイルスにより、学生が大学をやめざるをえなくなるという危機は、とりあえずは回避されたように思えます。
さらに、オンライン講義のひろがりやキャンパスに入れないことで心配されていた「大学生活への不適応、修学意欲の低下」は15.6%にとどまり、昨年の15.9%から大きな変化はなかったことがわかりました。
ただし、大学を中退する学生は多くなかったとはいえ、それは家計が苦しい学生を支援するため、ほぼすべての大学が前期授業の納入猶予をおこなった対応策が功を奏したとも考えられます。
数字を見る限りでは新型コロナウイルスによる学業の断念は現段階では見られませんでした。
ただし、後期に入り、学生のキャンパス入構を開始して、対面講義を再開した大学のなかには、実際にクラスターが発生している場合があります。
予断を許さない状況が続いているのはたしかです。
新型コロナウイルスへの対応は長く続くということが見込まれます。
生活困窮学生は潜在的にいるとの認識をもち、感染症が長期化する状況のなかで、今後も注意深く大学中退の問題を見守っていく必要があると思います。
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