箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

「送信」を押す前に

2020年12月18日 08時25分00秒 | 教育・子育てあれこれ


誰でも、人はほかの人との関係の中で、つまり対人関係の中で、うまくいかない場合、不満をもったり、相手にこの点を改めてほしいと思うことがあります。

また、自分の身の回りで起きていることに対して、自分なりの意見や感想、感情をもったりします。

それを面と向かって表明するのは、けっこう勇気がいることです。

これを言えば、人間関係が壊れるのではないか。

こう言ったら、言われた側はどう感じるだろうか。相手が傷つかないように言うには、どう言えばいいだろうか。

また、AさんとBさんの間に起きていることを、直接関係のない自分が口を挟んで意見をするのはやめておこう。

いろいろと考えて言動をすることが多いのではないでしょうか。

このように、いろいろと考え、思いを巡らして、自制することで、人間関係が維持できていることは、じっさい多いと思います。

表現のしかたを工夫して伝えたことで、相手が傷つかずにすむということもあります。

思っていることや、感じていることを黙っていることには、それなりの効用があるのです。

その意味で、「沈黙は金」(Silence is gold.)なのです。

しかし、ネットの世界は違います。

手軽に自分のコメントや意見、考えを書きこむことができます。それも匿名で発言できます。

さらに、だれに自分の考え、感想、意見を表明するかという点では、ネットはその範囲が不特定多数の人が対象になります。

この手軽さ、匿名性、範囲の広さなどが、誹謗中傷となり、人を深く傷つけます。

誰かが、文面やショートメッセ―ジを入力します。

そして、送信ボタンを押すと自分の入力した言葉がインターネット上に上がります。

このとき、「送信ボタンを押す」前に、もう一度たちどまり、この言葉はその人の「背中を押す」ことになるだろうか。

励ましたり、勇気づけたり、喜ばせたりというように「背中を押す」ことになるだろうか。

自分にとっては、一瞬の「送信ボタンを押す」、「投稿する」「ツイートする」ことであったとしても、相手にとっては一生にかかわることになるかもしれないというおそれをもちたいのです。

誹謗中傷を受けて平気な人はいません。

この点を深く、十分に考えたいのです。

匿名性に関しては、中高生はネット上に自分のコメントや意見・考えをアップするときには、かりに実名でのせるとしたら、そのまま送信できる内容であるかを見直すようにしてほしいと思います。


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