Michiyo Kamei "Shape of life"いのちのかたち  

画家 亀井三千代 記
「身体曼荼羅」春画と解剖図
michiyokamei diary

亀井三千代 HP/Michiyo Kamei official web site 

https://michika-6.wixsite.com/michiyokamei

大晦日には

2010年12月31日 23時00分44秒 | 日記


大晦日には、大掃除。。。

靴を磨きまくる。
靴磨きって意外と好きだ。
靴墨をぬって、少し放置して、やわらかい布でしゃかしゃか。
光るでしょ。つやが出はじめるとうれしくなる。
そして、この靴墨の匂い。なんだかとても懐かしい。


夕方からは、だし巻き玉子作りに励む。

喪中は、おせち料理は食べてはいけないと言われたが、
やっぱりこれは食べたい。
だし巻き玉子と栗きんとん作りは私の役目だった。
作りながら思い出す。
昨年の大晦日は、実家でこれを作っていた。
そばにはまだ父がいた。
父は、できたての玉子の端を切って食べるのが好きだった。
料理をしながらこんなふうに、しみじみと父のことを思い出すとは意外なことだ。
自分が普通の家庭の普通の娘のように思えてくる。
私と両親の関係は、こんなふうに単純なものではなかったのだ。


今日、ワレリー・アファナシエフ(Valery Afanassiev)のCDが届く。
カルチャー講師を始めたおかげで
買い物心にも少しだけゆとりができた。
CDくらい買ってもいいか。中古だけど。

お正月は、これを聴きまくる。
聴き始めると絵が描きたくなる。
この人のピアノ、心が揺れる。

あと一時間ほどで今年も終わり。  


天才サンタクロース

2010年12月26日 08時39分02秒 | グルメ



イヴの夜。月がきれいだった。

クリスマスにはサンタクロースが、
毎年とあるホテルのクリスマスディナーをプレゼントしてくれる。


これはその時のコンソメスープ。
魔法のスープだ。
なんとも言えない香り、色。
舞茸だけじゃない、複雑な味。

想像力をかきたてられた。
たったこれだけの液体に
こんなに豊かにさせられるなんて。

ものと違って、飲んだらなくなる。
でもそのあともずっと…
舌から私の記憶に刻まれる。
複雑で豊かな幸せ。
消えてなくなるからいいのかな?
絵とは逆だな。



食べてるとき、幸せです。

ところで、
もう何年も
サンタクロースはこのプレゼントを忘れたことはない。

人はだいたい気まぐれなものだし、
悪気がなくても口先だけになってしまうことが多いでしょ?

でも、私はこのサンタから有言実行がいかに大事かということを教わった。
妥協をしないということや、それと何より
「途中であきらめない」ということに関してはすごくうるさかった。

このサンタの頭脳はただものではない。
天才というのはこういう人のことを言うのだろうと思う。
美術の世界の人ではないが
私にとっては恩人である。

頭のいい人は、頭を使うのが楽しくてたまらないらしい。
だからどんどん頭が良くなる。
で、そのまま歳をとるので、
歳をとればとるほど、知の巨人になっていく。

こういう人に巡り会えて、なんて幸せだろうと思う反面、
彼らの世界に少しでもかすりたいなら
常に努力をしている彼らの(なんなら努力を楽しむ彼らの)、
その何百倍もの努力をしなくてはならないだろう。

来年はストイックに引きこもろうかな…。


ワープする

2010年12月23日 09時08分28秒 | 日記


私の家の玄関。
大好きなスペース。
大きな窓があってとても明るいのです。
しかも、大好きな小物を集めた。
大切な人たちからの大切な贈り物もあります。

ここには越して来て3年。
あまり人を呼んだことはない。
東京の中心から、少し遠いのだ。
川崎から大師線にのってとことこ。
その下町っぽいところが気に入って越してきた。

駅向こうは、すぐ川崎大師。正月はとても賑やかである。

我が家を訪ねてくれた作家さんは2人。
2人とも私にとって大切な作家だ。
彼らとは話し始めてすぐ、特殊次元にワープするのを感じる。
絵画世界を言葉にするのは難しく、
でも難しいからこそ一旦入り込むと奥が深いようだ。

ところで、
今年10月から急遽引き受けたカルチャー講師も
昨日でひとくぎり。
さまざまな反省点を残す。

もっと突っ込んだ方が良かったか、
それとも言い過ぎてしまったか。
言い方は分かりやすかったか?
抽象的な言い方をしていなかったか。
それこそ、私一人で
特殊次元にワープしちゃっていなかったか…

絵が好きだからついつい真剣になってしまう。
でもその人の絵画世界を壊したくない。
ジレンマの3ヶ月でした。

私自身勉強になることが多かった。
大人の方々とこんなに会って話しをして…
生徒さん達にいろいろ教えていただいた3ヶ月でした。
譲っていただいた山田宴三氏にも心から感謝。
私はもっと人間的に成長したい。

ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。


やさしい人たち

2010年12月21日 09時29分00秒 | 日記



蘭、開花。うれしい。
今年の2月、東京ドームで開催された世界ラン展で買ったもの。
幹の節から花芽が伸びる。



こんな感じ。
おもしろいでしょう?



こちらの名前は確か「ブラックジャック」。
ファレノプシス系。やはり花芽が伸び出した。
この伸びが結構早いんです。
蛇のかま首のよう。。。

蕾がつくとわくわくします。
この「わくわく」の原因は何だろう。

食べ物にわくわくするのは、おいしいから。
それは味覚に依る刺激。
じゃあ花にわくわくするのは
視覚に依存したものだ。
そして花が、私の意のままにならないことも
魅力の一つだ。
自律した存在。

昨日はある人に、描きかけの絵を見ていただいた。

絵は最後には作品として自律させなくてはいけない。
そして絵に対して責任を持つこと。

絵の前で対話をする幸せな2時間。
何なら、このために、この時間のために
私は絵を描いているのではないかと思うくらい。

私の妄想について話す。

最近、私は画面の中に妄想を描く。
その扱いに困っていた。
会話をしながらヒントを探り出す。

ところで、作品は80号。
電車で運んだ。
人々は意外と優しかった。
すっとよけてくれたり、壁側をゆずってくれたりする。
なんだか泣きそうになった。
そんな自分にびっくりする。

皆さん、本当にありがとう。


がんばれ私

2010年12月20日 08時57分24秒 | 日記



先日京都へ向かう途中、車窓からガンダム。

かっこいいですね。ホンモノみたい。
っていうか、アニメの場合「ホンモノ」の概念がよくわからないけど。
何をもってホンモノとするのか。
2次元で生まれたアニメは、
2次元にあってこそホンモノなのか?

ホンモノという言葉はニセモノという言葉があって
はじめて意味を持つようにも思う。
「虚」と「実」、それはまぁ、次元の問題でもないのだろうが。。。

フランシス・ベーコン(Francis Bacon 1909-1992)
が対談の中で
自分の絵を立体にしたいと言っていた。
何を言ってるんだ。
立体化してくれなくて本当によかった。
見たくない。
たぶん笑っちゃう。


私のベッドサイドに掛けてあるFrancis Baconのカード。

2次元はある種異様な世界だ。
そこにしかない「実」がある。
平面という制約の中で、
2次元でしか写し出せないものがある。

もし、3次元の世界を
時間と空間がある現実世界というなら、
2次元は「虚」の世界かもしれないが、
2次元も3次元も所詮は個々の脳で感じる
どちらも同じ仮想世界だと私は思っている。

今日は今描いている作品をある人に見てもらう日だ。
わけあって途中の段階で見ていただくことになった。
描きかけの絵は恩師にしか見せたことがない。
何だか、してはいけないことをしちゃう気分。

80号を電車で運ぶ。
雨でなくてよかった。
3次元の現実世界は引力やら重力やらでけっこうつらいのだ。
がんばれ私。


京都にて2

2010年12月07日 09時05分47秒 | 旅行



天龍寺のもみじ
その赤を堪能。

もみじの赤ってすごく綺麗。

京都は街のあちらこちらでもみじが見られる。
日を浴びて、赤く燃える。

秋になると皆で紅葉、行楽…
あたりまえすぎて
今まであまり気にしていなかったのだが。

そういえば先日、上海から一時帰国した恩師が
日本の紅葉を見てため息をついた。
上海では紅葉をまだ見ていないのだそうだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
天龍寺では加山又造の「雲龍図」を見る。
第一印象、線が漫画っぽい、なんて言うと怒られちゃうかな?
ごめんなさい!
でもこれ
ほめ言葉です。

天龍寺のあと、上村松園展を見に行く。
東京で見逃した展覧会だ。

顔に輪郭がない…霞のような髪。
目をこらしても捉えられない描かれた女性達の瞳。
それとは対照的な着物のボリューム。
いやぁ本当に凄い!
凝視しすぎて、気分が悪くなる。
すみません、これもほめ言葉です…。



その美術館のすぐ近くに、祇園饅頭というお店発見。
できたての「くりもち」をいただく。
うまっ!最高!屈託がな~い!
絵とはちがうなあ…。


京都にて1

2010年12月06日 08時43分24秒 | 旅行




京都に帰りました。
父の納骨。やはりぴんとこない。
悲しみはない。
私はよほどの不感症なのだろうか。

私は京都が大好きだ。
その風土を肌が覚えている。
この場所でこの自然の中で遊び、成長した。
今でも京都で暮らしたいと本気で思っている。

父に対して一つ思うことがある。
京都に帰りたかっただろうな、と。
父は東京の小さなマンションの中で死んだ。
全く仕方がないのだけど…。

父は京都の人間だった。
京都の風土がたっぷりとしみこんだ人だった。
これはぬぐえるものではない。
タクシーの中で東山を見たとき、
こみ上げる涙。
父に見せたいと本気で思った。



猫ひなたぼっこ。哲学の道にて。
法然院から永観堂へなつかしい道をゆっくり歩く。

自然と顔がほころぶ。
幸せな時間。


ありがとうございました

2010年12月02日 08時36分13秒 | EXHIBITION

 

 
亀井三千代 『海馬』 2010 墨・岩絵の具・膠・和紙

プリュス・トウキョウ・コンテンポラリーアートフェアは無事終了いたしました。
プリュスの選考委員の方々、いらしてくださった方々、
そして私を扱ってくださった羽黒洞の方々、
すべての方にお礼を申し上げたいです。
本当にありがとうございました。

楽しい3日間、内容の濃い3日間を過ごすことができました。
特に、作品について話をす
るのはとても楽しい。
以前はうまく説明できる気がしなくて
絵について語るのは苦手だった。
できれば、代わりの人に説明してほしいくらいだった。

でも、最近は違う。
だんだん楽しくなってきた。
やりとりをしながら、自分自身が整理される。
また、見てくださる人の話を聞きながら、
思いもよらないことに沢山気づく。
そして何より、以前よりも伝えたいことが増えてきた。

最近、友人と話をしていても、
本音を言えないことが多くなった。
本当は違うと思う、そうとは思わないし、
私は全然そうじゃない…とか。
思いをため込んでしまう。
たっぷりたまったそれらを
いつかちゃんと説明して理解してもらえたら、
これほどうれしいこともないだろう。
でもそれはいつ?どこで?
やっぱり私は絵と一緒でないといられない。
絵を通して話がしたい。
難しいことだけど。


また見ていただく機会がほしい。
またいらしてください。



プリュス・トウキョウコンテンポラリーアートフェア2010 羽黒洞ブースより