Michiyo Kamei "Shape of life"いのちのかたち  

画家 亀井三千代 記
「身体曼荼羅」春画と解剖図
michiyokamei diary

亀井三千代 HP/Michiyo Kamei official web site 

https://michika-6.wixsite.com/michiyokamei

ダーリン・ミシン

2012年12月31日 15時58分54秒 | 日記


年末、主人といる時間が増えた。

主人が日常の私を見かねて
「もっとちゃんとしなさい」と言った。

「もっとちゃんとしなさいィ~?」

これ、昔 父に言われたことがある。

まったく同じ台詞だ。

「ちゃんとしなさい」

私はひねくれていたので、
「ちゃんと」ってわかんない、って思っていた。

だからこの際、主人にたずねてみた。
「ちゃんと、ってどういうこと?」

そうしたら主人はこう言った。

「それが分かる人間になるってこと」

この回答はあまりにも美しい
一年を締めくくるにふさわしい名言だと思った。

そんなわけで私はミシンを踏んでいる。

雑巾を沢山作ろう。


雑巾とそれからコースター。

こんなことでダメ主婦の
数々の失態が許されるとは思わないが…

それにしても久しぶりのミシンは気持ちいい。
機械が勝手に進んでくれる。

RCサクセション
「ダーリン・ミシン」だ!!最高だ!!
http://www.youtube.com/watch?hl=ja&v=z45PenmdLlM&gl=JP

みんな愛してます!

良いお年をお迎えください。


幸せの伝染

2012年12月30日 10時43分24秒 | 日記


以前、友人から会社の手ぬぐいを作りたいとのことで、
デザインの打診があった。
デザインはやったことがないし、全く自信がなかったが、
20年来の友人なので、引き受けた。

先日ついに出来上がったと連絡を受けた。

プロの人から見たら
めちゃくちゃなデザインかもしれないが、
自分としては結構気に入っている。

友人の会社はバネの工場* だ。

小さなバネを数種いただいて
それをイラストレーターで形にした。

どうしても線が細く、形を複雑にしてしまう…
私はそういうタイプだ。

手ぬぐい屋さんに
「ろうけつ染めでこれをやるのは大変」と
少し嫌がられたが…

素敵な手ぬぐいにしていただいてありがとう!!





また、
月刊美術2013年1月号の特集の中で

佐藤美術館の学芸員の方から
2012年の気になる作家に挙げていただきました(p.86)。

私の墨の作品が印象に残ったとのことです。
励みになります!!
本当に本当にありがとうございます。





嬉しいことはまだまだ続き、
カルチャーで教えている生徒さんが展覧会で賞をいただいた。

もちろんその人は、私が指導するまでもなく
自身を鍛え、絵に対してとても謙虚に向き合っている。
カルチャーだとか、そんな棲み分けは関係ない。
良い絵は良い。
ここで名前を挙げることはできませんが、
私もとっても嬉しいです(大変勉強になります)!





今月は
カナダから帰国した友人、
20年来のつきあいのある大切な作家
地方在住でめったに会えない友人夫婦、などなど

しばらく会えなかった人にも会うことができ
彼らからの前向きな報告を聞き
それが私にとって、大きな励みになりました。

人を支えるのはやはり人だと強く感じます。

とても幸せな年末だと感じております。
この幸福を来年にもつなげて、
私の周辺にも伝染させていきたいです。

* http://blog.goo.ne.jp/michika-6/e/98754caf7aa8464b602f41d410c0c4f3


得がたい経験

2012年12月22日 00時31分00秒 | 旅行


中国絵画を見るために
3泊4日の旅に出た。

五代宋元時代の絵画

日中国交の問題があるので
この先日本では見ることはできないだろうと思った。

ならば中国へ行こう

突然思い立った。

格安チケットゆえ、実質2日間しか
動けなかったが
結局2日とも美術館に通ってしまった。

もう2度と見られないかもしれないから…

北宋 李成(傳)晴巒蕭圖軸 10c


北宋 范寛(傳) 雪山楼閣圖軸 10c-11c

幾つかの絵画は
素晴らしい、というよりは恐ろしい。

岩と木々と大気と水
ほとんどの絵がその4つで構成されている。
その風景の中にぽつんと人がいたり
楼閣があったりして
スケール感を増幅させているのだが…

でもそのことよりも
描かれた風景は
見ている人も、作家をすらも
のみこんでしまう
これらの絵画は実寸を超えた
何か巨大な空間だった。


描いている作家でさえ
人間という自然現象の一つだと
すべてが(時間さえも)
絵という巨大な自然・自然現象の中に

吸収されてしまうように感じられて
その物質感のなさが
怖いのだ。


絵画空間は現実よりリアリティーがあった
そのリアリティーとは生や死を含むとても残酷なものだと感じた。




飛行機は春秋航空

茨城空港から乗った。

茨城空港まではリムジンバス(500円)が
東京駅から出ている。

座席はやや小さくて固いが
飛行時間は3時間ほどなので
さほど疲れない。
まあ、安いのでいい。

ただし、荷物は機内持ち込みの手荷物と
預けるトランクの合計15kgまで。
超えると超過料金を取られます。





中国の人は、地域によって違うのだろうが
無駄に気を使わないところが良い。

何度も足を踏まれたし
どつかれたりもしたが
私がうっかりどついてしまっても
気がつかない、知らん顔だ。
そんなことどうでもいいようだ。
日本だったらものすごく嫌な顔をされるだろう。

普段、
私はなんて過剰に、人に対して気を使っているのだろうと
逆に気づかされた。
知らず知らずのうちに窮屈なルールを自分に課していたかもしれない。

全く違う環境に身を置いて
大変良い刺激を受けました。
たった2日間、
計れないほど多くのことを学びました。

ありがとう中国!!
またきっと訪ねます。


4日間 日本脱出

2012年12月16日 09時42分14秒 | 日記


昨日、六本木一丁目にある泉屋博古分館にて
中国絵画の展覧会を見る。

「画遊」について学ぶ

視点を変えることで周辺のスケールが
どんどん大きく感じられる。
変幻自在の優しい空間の中を
存分に歩かせていただいた。

登山の経験も
役に立った(と思うのだけど…)。


絵の中に入れてもらえる
その仕掛けの面白さと同時に
中国絵画の懐の深さも感じる。

おそらく何時間観ていても飽きない
とても素晴らしい展覧会でした。





明日から4日間
日本を脱出いたします。

無事帰国いたしましたら
またご報告いたします。


座の会、リポート

2012年12月14日 07時36分20秒 | 日記


月刊水墨画 平成25年1月号に
今年9月に行われたグループ展「座の会」のリポートが載りました。

取材はとても丁寧に行って下さった。

私が墨を使っていた為か
写真入りでご紹介いただいた。

とてもうれしいです。
本当にありがとうございます。


(写真上、亀井三千代 P.87)

墨だけで大作を仕上げるのは
私にはまだ難しい。

どうしても途中から色を使いたくなってしまう。

色への欲求は
食欲とか、性欲とか(?)
何か本能的なものに近いと感じている。

私の場合、理屈ではないように思う。

でもその色を導くのは墨のようだ。

イメージは素材と手と眼と脳の間をぐるぐるまわるみたい

そこに、
その循環の中に
始まりと終わりはどのように巡ってくるのだろう…

唐突なのか、それとも常にあったのか。

循環の中でそれを見極めるのは難しい。

それはいつも意識より先に起こるから

だから絵を描くのが大好きだ。


今、銀座・京橋界隈では
このような企画が行われている。

ご案内をいただき見に行った。

銀座 柳画廊「ジル・サックシック」展


日本の大気ではない
ゆったりとした光
とても素敵だった。


画廊の方と少し話をした。

この作家は油も水彩もパステルも墨も版画もやる。

描きたいものに応じて素材を変える。
その素材への追求がすさまじい。

日本では油絵画家、日本画家などと
棲み分けをしたがるが、
それは少し窮屈だよね、と話は進んだ。

確かにそうだなと思った。


父の夢

2012年12月04日 07時35分25秒 | 日記


自分のブログが
呑んだり食べたり
そればっかになっているのに驚く。

仕事はしているのですが…

「こんなの描いています」って途中を見せるのは
あまり好きではない。

パンティをはきかけて、
片足にひっかけて
けんけんをしながらうっかり人前に出てしまうような
そんなバツの悪さに似ているから。

で、上の写真は
今日の裏打ち。


大きな紙を裏打ちするのは
正直めんどくさい

でも、
いつかしないといけないことだし、

前日に足利で飲み過ぎているので
絵を描くよりはいいかなと考えた。


そしてとうとう、「和紙のりいちばん」に手をだしてしまう。

今までは

しょうふ糊を煮て、漉し器でこして糊を作っていたのだが
その手間に裏打ち自体がおっくうになっていた。

画材屋さんによると
これは樹脂と糊を混ぜたものだそうだ。
確かにボンドっぽいにおいがする。
しょうふ糊の、あの柔らかなポチャポチャした感じはない。

どうなんだろう…

楽なものを使うと、もう元には戻れない。
それが良いか悪いかは今はわからない。






作業に入る前に
少しだけうたた寝をした。

夢の中で何度も目が覚めて
「あ、夢か」
「あ、またこれも夢か」…
となっていたが、
最後の夢に父がはっきりと出てきた。

「ムール貝は使わないのか?」
と意味不明のことを母に言いながら
廊下を行ったり来たりしていた。

私は驚いて父を呼んだ。

母が「よみがえったのよ」と
私に言った。

目が覚めて私は泣いた。

それが夢だということが
とても悲しかったのだ。


足利で再会

2012年12月03日 08時54分04秒 | 日記


親友Nとともに栃木の足利に行く。
目的は西本剛巳氏の展覧会「ECLIPSE 2」

駅では、足利在住の作家 F氏の家族と合流。

久しぶりの足利。
展覧会場のM画廊には15年ほど前か、
やはり西本氏の展覧会を見に
2度ほど訪ねたことがある。

M画廊の三村氏
作家本人にも再会
懐かしい





のですが、

実は画廊を訪ねる前に

ココ・ファーム* というワイナリー&カフェに立ち寄ってしまった。

店内はワイン工場とショップ、レストランが一緒になっており、
あまりの楽しさに写真をとるのも忘れる。

ワインの試飲カウンターがあり、
白と赤をそれぞれ1杯づつ
ランチを食べながらワインをまたまたごちそうになり

せっかく15年ぶりの再会なのに
画廊に着く頃にはベロベロに…

自分がとても残念です





M画廊はおしゃれな蔵のような画廊
移転をしたそうだ。

作品はインスタレーション

しばらく絵画ばかり見ていたせいか
インスタレーションに多少の違和感を覚える。

やっぱり、平面とは違うなぁ(当たり前だけと)

理論や直感で隙間なく構築された3次元には
作家のストーリーが果てしなく展開していて
見る者の知性を刺激してくれるが

異様な2次元の曖昧さは
なんて魅力的なんだろうと…
逆に実感した。


欠けているということは、一つの可能性だ。


夕方、
F氏宅で皆で鍋を囲むのはいいが…

画廊では「獺祭だっさい」*² という美味しい日本酒をごちそうになり、
F氏宅でも日本酒が登場し
結局私はどんだけ呑んだんだろう

気が上がっておさまらない。


西本氏とF氏のニューヨーク展覧会話に
場は盛り上がる。

やはり作家という生き物の人生は
どこか狂っていて面白い。


こんなレアな場に居合わせることができて
幸せです。

絵をあきらめなくて良かった~

*¹  ココ・ファーム・ワイナリー(Coco Farm & Winery) http://www.cocowine.com/
*² 獺祭 http://asahishuzo.ne.jp/