Michiyo Kamei "Shape of life"いのちのかたち  

画家 亀井三千代 記
「身体曼荼羅」春画と解剖図
michiyokamei diary

亀井三千代 HP/Michiyo Kamei official web site 

https://michika-6.wixsite.com/michiyokamei

いのちに敬意を

2019年10月31日 11時41分11秒 | おすすめ展覧会


子供の頃、癌という病気の話しを親から聞かされたときは
「だけど大人になる頃にはきっと治る病気になってるから大丈夫」
と言われたのを覚えている。

ある意味では当たっているけど、
でも未だにとても死と近い感じがしてしまう。

塩田千春さんの展覧会は絶体に観なくてはと思い
雨の強い日、朝一で美術館に行った。
待たずに入れてじっくり鑑賞することができました。

観る、というよりは体験、追体験。
塩田さんの体験を追って体験する感じだった。
大がかりなインスタレーションの迫力に
人のいのちの壮大さそのものに入り込む思いで
自分の足の一歩一歩に力が入った。
痛くて美しい作品。ひもは針か棘のようにあちこちに突き刺さり、
あるいは見えない関係性が可視化された洞窟のようでもあり、
私は女性として強く共感もでき、また同時に小さな蜘蛛になったようでもあった。





翌日、故田中芳さんの遺作展に行った。
田中さんはちょうど今の私の年齢の時、癌で亡くなった。
当時この知らせは衝撃で、しばらく受け止められずにいた。
今年は7回忌になるのだそうだ。


亡くなる1年ほど前、個展に来て下さったときに
「何故日本画の作家は、作品を綺麗なまま残そうとするのか私には分からない。
この世界のものは当然時間とともに変化し、朽ちていくのに。」
と少し語気を強めて仰っていたのが忘れられない。
思えばこの時にはもう闘病されていたのだ。
この言葉はずっと私の頭にあって時折現れる。

画廊には芳さんのお姉様がいらしてお話しくださったが、
その人も病気を患っているようだった。

ある裸婦像を描いた作品を指さし
これは20代のころの自分だと嬉しそうに何度も繰り返し話された。
私はこの作品と目が合っていた。


「塵」田中芳 2009

購入。
つねに側に置いて共に時を過ごそうと思います。
この日は帰宅してから少し泣いた。

田中芳


台風19号、胸が痛みます。

2019年10月16日 08時36分04秒 | 日記


君たち、そこは川じゃないよ。
台風19号が過ぎ去った翌朝の多摩川

子供の頃も氾濫した多摩川、その記憶はまだ瞼にある。
だから現在も多摩川沿いの住人としては恐ろしい一夜でした。
テレビで川が溢れた画像を見てから、絶体にこちらも溢れるという確信。

一夜明けてみれば、多摩川のみならず全国的に酷い被害。
3.11の記憶と繋がって愕然としました。
うちもベランダのガラスにひびが入り、これから修理に入ります。


実は、台風が来る前に来年度の人人展の企画を決めるアンケートがあった。
選ぶテーマは3択。「自然」「人拓」「桜」の中から1つ選ぶというもの。
私は「人拓」にしました。
こういった機会でないと自分で進んで「人拓」はやらないなぁ、という
どちらかというとネガティブな理由からです。
でも今、このアンケートがあったら迷わず「自然」にしただろう。

昔から、大型の台風による被害はあったと思うけれど
やはり温暖化の影響は否めない。

そんなことを考える良い機会だったかもしれない。
制作のテーマは実感がこもっている方が良い。

絵描きにできることは何だろう?
一人では無力。他の仲間とも話していきたい。
思いと画面を繋げていきたいです。


停電を予測してご飯炊きまくり。
夜、暴風域に入り音と振動の恐ろしさにおにぎりを抱いたまま部屋を右往左往した。
こんな形になっていてビックリ(@_@;)
パニックの痕跡。




抜けた~~(@_@;)(@_@;)

2019年10月10日 17時30分48秒 | 日記


ああ辛かった
仕上がりそうで仕上がらずドツボ!
訳あって薔薇を描いています。
これには本当に深い訳があるのですが、まだちょっと言えません。

10号の薔薇を描いてしまったがために
0号の薔薇を描くことにしたのですが
0号は小さすぎて描きにくく、久しぶりのドツボでした。

ドツボにはまるとどうなるかというと
気分的には鬱
いつも胸に何かがつっかかっているようですっきりせず
モヤモヤ気持ち悪さがずーーーっと続き
で、家事ができなくてゴミ屋敷になり
身だしなみもできなくて白髪だらけの怪しい人になりさがります、はは。


それが抜けてくるとき、これまた何やら兆しがあります。
ああ、何か来そうだと
胸から澱が抜けてふわ~っと感謝の情が湧き上がってきます。
この快感は他のことでは味わえません。
とはいえそれまでの鬱状態を思うと、精神的にはやっぱり良くない。

うまく気分転換をして情緒をコントロールしたい、その方法を覚えたいです。






先日久しぶりに目白に行きました。
目白は20代の頃のバイト先
駅前のバレエシアターの事務受付を5年ほどしていたでしょうか。
まだあった、懐かしい!

目白では、まずポポタムというブックギャラリーを訪ねました。
人人会の作家、山﨑克己さんが個展をされていたのです。
このお店は手前がブックギャラリー、奥に画廊という作りになっていて
前回来たときは画廊だけ訪ねてブックギャラリーの方はちらっとしか見なかった。
今回、ふと気になる本に目がとまりいろいろ見始めたらしゃがんだまま動けなくなった。
珍しいものしか置いてないじゃん!!(@_@;)

他で見ないような輸入本、絵本、カードなどなど
で、これを買ってしまいました。

なんでしょうね、これ。
日本のカテゴリーにはない、飛び出す絵本でもないし、
単なる絵本でもないし
見たことない宇宙でした(笑)

他にも欲しいものがあったので
また訪ねたいと思います。
そしてポポタムのあとに学習院に行き
水墨画の研究会に参加しました。





あまり知られていませんが私は墨を使う作家です。
そんなことからお誘いいただき、貴重な講義を受けることができました。
前半の講座は米国で活躍する中国人の現代水墨画家の紹介。
中国人の現代水墨画家がどのようにして伝統と繋がっているか、という話し。
日本の水墨ももとは中国からなので
私たちにも関係なくはないのですが、
個別の進化をとげているのでそこから「じゃぁ日本の水墨とは何なのさ?」となるわけです。


で、後半は実演でした。
何種類かの紙、墨、水の組み合わせでどのように発色するか、滲むかを
パターンにして可視化。
そこに「何を描くか」という発想が先立つと最強のように思いました。

昨日はお世話になっている鍼灸のアース治療院でメンテナンス。
即効性という意味では最高だと思います。

鬱も抜けて感謝モード
沢山の人のおかげで描くことができています!!
どんな形になるか、わかりませんが感謝の気持ちを伝えていきたいです。