YesかNoか、好きか嫌いか、あるいは良いか悪いかは二元論しか導かないが、平衡して二つが存在すれば成り立つが、大方の生活の中で物事の判断に用いられている。
今回のアメリカ大統領選挙の騒動は二者択一という最終的プロセスで際立って、アメリカ国民の現状を見せつけられた。それはトランプ政権の4年間に「うんざり」した人と、トランプが自分たちの生活を救ってくれると思い続けたひとと二つに分断されて、二つに断絶した社会が生まれてしまったことだろう。この断絶はトランプが目に見える形、黙っていたことを大ぴらに言って、煽ったことでそれまで心に思っても口に出さなかった人たちが、大ぴらに口にし始めただけだと言われている。
9.11テロの後、サンフランシスコの元カノの所に遊びに行ったとき、「庭に星条旗を揚げたり、車に星条旗をつけて「アメリカ」を主張する人たちに近づくなと言われた。なぜかと聞いたら「彼らは直情的で暴力的だから」と。それにしてもその当時多くの家で星条旗を庭に揚げていたのには、日本的な主張の仕方と比べて「直接的」だと思った。ドイツでもこんなことはしない・・・いやフランスではあり得た。日頃から「自由」を掲げている国民ほど、何かがあった時には「国民的団結」を求めるのだ。
今回の大統領選挙はトランプ派と民主党派に分かれていて、どうもバイデン派と言うより、「トランプでない方」に分かれていたように思える。たまたま10月29日が元カノの誕生日でHappy Bierthdayのメールを送ったときに、僭越ではあるが、昔のよしみで「どうかトランプには投票しないでくれ」と書いたら、「もう、投票は済ませた。もちろんバイデンに入れたよ」と返事が来た。しかし最後の行に「アメリカを助けて」とあった。彼女にとっても状況が尋常ではなかったのだろう。
この先のアメリカ社会のまとまりの無さは私にも心配で、今ちょうどコロナのせいで、元カノを訪ねたりしない方が良いことは明白だが、それに加えて「アジア人に対する差別感情」があって、家族でアメリカに住んでいる人は子供のことを考えて帰国したいと思う人も居ると聞く。
要するに国が二元論に分かれて、理屈ではなく「感情的」になっているわけで、未だに共和党支持者の半数以上がトランプの勝利だと思っているとアンケート調査の結果が出ていて、こうした人たちは「現実」を見ない理性を失った状態だと言えるだろう。中には武器を携帯して通りに出て来る者もいて、危なっかしい。共和党議員にも多くの「トランプ勝利」を言うものが居るそうだ。この議員たちも二元論的で「自分たちに都合のいい情報」だけを選択している・・・・危ない精神構造をしている。
ここまでくると民主主義社会を代表するアメリカ合衆国が危うい。トランプの支持者の多くは、物質的、社会的地位の公平な分配を受けなかったと思い込んでいる人たちだ。彼らの不平不満は民主党支持者に多い高教育で社会的地位が安定している民主党支持者に向けられている。
彼等は対立することで、自分のアイデンティティを維持している。この対立は好き嫌いと同じで、さほど合理性はなく、好き嫌いで多様性を拒否し、絶対神を信じる宗教のように自己に都合よく受け入れる。まさにトランプ支持者がそうだ。
今回の選挙後もこれからもずっと続くわけで、非科学的な思い込みで他者を拒否し、要するに差別主義の原因がここにある。一方の極端なラディカリストもほとんど同じ性格を持っている。
丁度悪いバイオリズムが働いているのかも知れないが、この世の動きからはみ出して観察しているのも「無駄」が多い気がする。だから・・・なんだって?
いや、好き嫌いで反応せず、少しは無駄も受け入れるさ。
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