「戦争における本当の『勝ち負け』は植民地を見れば分かる」 後半
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何でここまで日本憎しに凝り固まるのか。フィッシュの言葉に沿うと「叩き潰し」はしたが、「直ちに」とはいかなかった。それが腹立たしいらしい。
FDRももちろん真珠湾を待って「日本を直ちに叩き潰す」用意はしていた。B17「空飛ぶ要塞」の太平洋配備だ。
この爆撃機は英国に貸与され、すでに欧州戦線で独戦闘機と渡り合い、1機も落とされないどころか逆に相手機を撃墜していた。
日本機など歯牙にもかけない。好きな所を好きに爆撃して降伏に追い込めるとFDRは思っていた。
制海権も同じ。真珠湾が襲われても水深が浅いから雷撃は無理。米艦隊はほぼ無傷で残る。英戦艦プリンス・オブ・ウェールズも加わり日本の艦隊をみな沈めて日本は制海権をすぐにも失うはずだった。
しかし予想はすべて外れた。真珠湾では戦艦6隻が沈められプリンス・オブ・ウェールズは開戦3日目で消滅した。頼みのB17は初めて見る零戦にバタバタ落とされてしまった。
「直ちに」倒せなかった日本はアジアに広がる欧米諸国の植民地を次々解放し、その独立を後押しした。
植民地という財産を失った欧米諸国は大航海時代前の貧乏国に戻って、その互助会EUを立ち上げたものの先行きは今も不安だ。
その責任は偏(ひとえ)に米国にある。日本を戦争に誘い込みながら「直ちに」倒せず、逆に植民地喪失という思わぬ損害を欧米諸国にもたらしたからだ。
「『戦争』とは、別の手段で行う政治だ」とカール・フォン・クラゼウィッツは言った。その意味で日本は戦争を通して立派にいい政治をやった。
米国はその意味で失敗して白人支配を潰してしまった。それを逆恨みして日本叩きを今も続ける。
思えば悲しい心根の国だ。
新潮文庫
「変見自在 トランプ、ウソつかない」
高山正之著 より
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