「戦争における本当の『勝ち負け』は植民地を見れば分かる」 前半
真珠湾攻撃のあとフランクリン・ルーズベルト(FDR)と議場に立った下院議員ハミルトン・フィッシュは「気の触れた悪魔、日本を直ちに叩き潰せ」とアジった。
尤(もっと)もすぐ後にFDRがこっそりあのハル・ノートを日本に衝き付け、開戦に追い込んだことを知る。ハル・ノートは米国では隠されたままだった。
「彼は何が何でも戦争をしたかった。そして日本を開戦に追い込んだ」「議会も米市民も彼に騙された」(渡辺惣樹訳『ルーズベルトの開戦責任』)
彼は太平洋艦隊をわざわざ日本軍の手の届く真珠湾に「動けぬアヒルのように」繋ぎ、半径500キロしか飛べない旧式のB18偵察機を配備した。
そして真珠湾攻撃が起きる。その責任を取らされてクビになったハズバンド・キンメルが求めた軍法会議を彼は拒絶し続けた。
「開けば極秘にしたハル・ノートの存在を公表することになるからだ」
かくて日本は汚名を着せられ、東京大空襲から原爆まで浴びた。フィッシュの言う通り叩き潰された。
FDRの政治は一見うまくいったように見えた。85%が参戦反対だった米市民は進んで志願し戦場へ向かった。
おかげでナチをやっつけ、日本も潰して戦後世界に不動の地位を築けた。
ただ一緒に日本を真珠湾に誘い込んだ英国は戦勝国になったものの「失ったものがあまりに大きかった」「英国が中国に持っていた権益はもとよりマレーもシンガポールもビルマも失った。インドやセイロンまで失った」。
英国が今もなお日本にひねた嫌味を言うのは、植民地という財産を奪われて貧乏国に突き落とされた深い恨みがあるからだ。
その点、米国はフィリピンを失っただけで要衝グアムはそのまま保有できた。
損害は浅いのになぜか英国以上に日本に嫌味を言い続ける。安倍晋三を極左と罵り、アイリス・チャンの書いた南京大虐殺の嘘を教科書にまで載せて騒ぐ。
ニューハンプシャー州議員ニック・ラバッサーは「2発の核では足りなかった」と米市民が語り合う現実をうっかりばらした。
米政府も原爆はやむを得なかったと言いながら投下したエノラ・ゲイを首都に飾り、原爆を作ったロスアラモスを国立公園に指定して日本人虐殺を祝っている。
原爆投下は正しかったと主張する『Killing the Rising Sun(日本を叩き殺す)』がこの3か月で50万部も売れている。
(続く)
新潮文庫
「変見自在 トランプ、ウソつかない」
高山正之著 より
「変見自在 トランプ、ウソつかない」
高山正之著 より
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます