やっぱり山は乾いています。毒キノコさえ見あたりません。それでも探し出すのがキノコ狩りのベテラン。普通の人が入らないような藪を越え、急斜面をよじ登り駆け下り、頻繁に熊が出る場所もものとせず。いばらに遮られても突き破り、目指すキノコを探し出すのです。それでもいつどこで熊と遭遇するかもしれないという緊張感は、また格別のものがあります。「メメント・モリ」。「森を思え」ではなく、「死を思え」。森はいつでも生死の緊張と荘厳さに包まれています。森に入れば人もまた例外ではないのです。
本来なら、もう錦秋の季節なんですが、山はまだ緑が残っています。世界経済と同じように季節も狂っているようです。なぜアメリカの失敗のつけを世界が払わなければならないのか。世界恐慌は本当に来るのか。偶然ではなく、誰かが世界経済の構造を一気に変えるべくシナリオを書いているのではないか。などという妄想もキノコ狩りの山の中では枯葉の匂いと共に消えていきます。なんだかんだ、キノコは背負い籠いっぱい採れました。
昔は、川中島合戦の時のような深い霧が、半日以上も川中島を覆ったものですが、今は温暖化の影響か、それもほとんどなくなりました。雨も少ないためキノコや粘菌にはつらい時代です。僅かな雨に変形体から子実体になろうとするコマメホコリも今晩中に子実体となって胞子を飛ばそうと必死なのでしょうか。
ムラサキシメジは秋の香りいっぱいのクリームスパゲッティに、翌日は炊き込みご飯になりました。地産地消の最たるものですね。有機栽培無農薬無化学肥料の上を行く天然自然食です。食糧危機になったら、粘菌料理なんてのもできるかもしれませんね。
今日の午後は、わが家の山の下草を刈りました。懸かり木になっていた落葉松を下に落とす危険な作業も無事に終え、森はアファンの森ほどではないですが、かなりきれいになりました。栗を植えるつもりです。栗だけを生産し滅びた三内丸山遺跡のようにはならないでしょうが、大好物なものですから。世界恐慌になったら栗と芋を売って、いや食って暮らします。グルメだの高級ブランドだの大食いだの小洒落たカフェだのは雲散霧消するでしょう。それでも生き残る文化がきっと本物なんでしょうね。
今回の山行は、フォトドキュメントの手法で綴るトレッキング・フォトレポート【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】で、アップしました。
そして、粘菌(変形菌)のコマメホコリの子実体。直径5ミリ以内で、未熟の時は本当にきれいなピンク色をしています。それらは、小さな虫たちのエサにもなり、てんとう虫の幼虫が食べているのを撮影したことがあります。ぜひ、ネイチャーフォトの【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】変形菌をご覧ください。きのこ料理は、MORI MORI RECIPE(モリモリ レシピ)をご覧ください。