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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

ニホンカモシカの個体識別は難しい(妻女山里山通信)

2011-01-30 | アウトドア・ネイチャーフォト
 とにかく、サッカー日本代表アジアカップ優勝おめでとう! ザックの知的かつ冷静な采配には感動しました。そしてなにより選手の頑張り。本当に優勝に値するチームだったと思います。南米選手権、コンフェデが楽しみです。新たな選手や、今回不幸にも怪我でリタイヤした選手も戻って来るでしょう。日本代表はさらに進化すると思います。しかし、あの紙吹雪と猛烈な花火には驚きました。

 さて、掲載のニホンカモシカ写真ですが、いったい何頭の個体が写っているか分かるでしょうか。そして、どれとどの個体が同一か分かるでしょうか。おそらく三頭のニホンカモシカが写っていると思われます。おそらくというのは、推定であり確証がないからなんですが・・。

 左から二番目が、私がマダムと呼んでいる母親です。その左が彼女の子供です。子供はもう二歳ぐらいになるはずですが、母親と一緒にいるところもよく見かけます。ニホンカモシカは、オスにもメスにも角があるので雌雄の見分けも困難です。オスは立ちション、メスは座りションをするらしいのですが、そんな場面にはなかなか出会えないですし・・。

 秋から冬にかけての繁殖期に、オスがマダムを猛烈な勢いで追いかけているのを見ましたが、オスの方が大きいということは分かりましたが、一頭でいると分かりません。また、夏毛と冬毛で見かけも変わるので識別が困難になります。冬毛の色も毎年同じというわけではないようです。一頭一頭に色付きのタグでもつけると分かるのですが。

 三頭目は左から五番目で、これが父親かと思われるのですが・・。妻女山から少し離れた鞍骨山辺りにいますが、母親の陣場平辺りにも顔を出します。識別の目安ですが、体毛が当てにならないとすると、鼻の形が一番分かり易いのかなと思います。鼻の形と穴の形や大きさです。そう思って写真を見ていただくと、これとこれが同一個体かなと思えてくるはずです。分かるでしょうか・・。

 老齢な個体だと角研ぎの跡が角の付け根前面にえぐれてあって分かるのですが、この辺りの個体は縄張り争いがないためか、あまり角研ぎをしないようです。実際、細いリョウブの木にも角研ぎの跡がほとんど見られないのです。母親が自分の縄張りを子供に譲って、父親のいる縄張りの方へ移ったというのも研究者のサイトなどを見ても書いてありません。子供に追い出されたのならしょっちゅう一緒にいるというのも変ですね。

 この子供は、一歳ぐらいの時に山仕事をしている私の前に突然現れて、シュッ!と何度も威嚇音を発したのでよく覚えています。すごく元気なので勝手に男の子だと思っていますが分かりません。彼が威嚇音を発したのは、私が彼の糞場に行く獣道を塞いでいたからだと思うのですが。トイレに行きたいんだよ。どいてくれ!と言っていたのかもしれません。

 彼(彼女)を産んでからマダムのお腹が大きくなったところは見ていません。本能的に産児制限をしているのか、老齢になってきて妊娠できないのか、それも分かりません。ひとつの尾根に一頭いる状況というのは、すでに飽和状態ということなのかもしれません。が、これも推測の域を出ません。何年も前に妻女山先の赤坂辺りの千曲川を泳いで渡るニホンカモシカを見たという人がいますが、これは縄張り争いに敗れた個体がいたということなのでしょうか。

 ニホンカモシカではありませんが、昨秋妻女山の先の国道脇にテンが交通事故死していました。ニホンカモシカの場合は、食肉として売られているという事実もありますが、特別天然記念物なので車でぶつけてしまったり、死体を見つけたときには届け出なければなりません。しかし、長野県でも毎年数百頭が捕獲されています。野生動物との共生というのは、街でのほほんと暮らす人には分からないと思いますが、本当に大変なんです。江戸時代には猪飢渇(いのししけがじ・けかち)というのがあったほどです。秋に登った虫倉山で話した老人は、根菜類は作れない。農業するのが嫌になると言っていました。賽の河原で石を積むような心境なんでしょう。察するにあまりあります。

 わが家の山も荒れ放題の時は、猪のヌタ場や掘り起こした跡だらけで、麓の畑にずいぶんと迷惑をかけていたようですが、私が一年かけて除伐したために猪の出現は激減したようです。それは足跡などのアニマル・トラックで分かります。ニホンカモシカに戻りますが、これからどういう風に推移していくのか、見守りたいと思います。







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