年末年始と慌ただしく、無雪期に行う里山の手入れもできずフィールドワークもままならず、ちょっとストレスがたまっている今日この頃ですが、今の季節は狩猟期なので週末に入山する場合は気をつけなければいけません。猪猟は猟犬を使って大人数で行われるので分かり易いのですが、ヤマドリ猟は単独、あるいは少人数で散弾銃で行われるため、より注意しないといけないのです。猟は主に谷で行われますが、散弾がどこに飛んでくるかわかりませんから。この時期トレッキングやフィールドワークで入山する時は、なるべく目立つ格好をし存在を知らせるホイッスルも携行すべきです。
茶色と灰色ばかりの冬の里山で、青緑や黄色に、時には花が咲いたように赤く艶々と輝いているのが地衣類です。地衣類は、なになにゴケと呼ばれることが多いのですが、コケ類・蘚苔類( せんたいるい)ではなく、藻類(そうるい)と菌類が共生している生物です。それゆえ地衣類を構成する藻類も菌類も単独では生きられません。コケは葉緑体を含んだ細胞でできた緑色植物ですが、地衣類は菌類です。ただコケ類と同じ光合成生物なので、コケ類と生育環境は重なります。
地衣類は、樹皮や岩の上などに色々な美しい模様を描き出します。地衣類は、大部分は子のう菌に属する菌類なんですが、光合成ができないため菌糸で作られた構造の内部に藻類が共生して、藻類が光合成で作り出す合成産物によって生活しています。両者の間には高度な共生関係が成立しているのです。地衣類は、その形態から葉状地衣類、樹皮や岩の模様に見える痂状(かじょう)地衣類(固着地衣類)、枝状になって基質から立ち上がる樹状地衣類に分けられます。ブナの樹皮は、本来は灰白色なのですが、主にモジゴケ科の痂状地衣類やコケなどがつくことによって、あのような風合いのある大木になるのです。
写真の黄色いものをロウソクゴケ科?と記していますが、コガネゴケ科のコガネゴケかもしれません。地衣類の同定は、似ているものが多く非常に困難です。
ほとんどの地衣類は食べられないので(美味しくない?)、食用にされませんが、おやきや天ぷら、酢の物で食べられる珍味イワタケ(岩茸)は地衣類です。食用とされる地衣類はわずかなので、世界の文献にも紹介されるほどです。わが家もトレッキングの途中でイワタケを採取して天ぷらで食べたことがあります。イワタケ自体には味はあまりありません。高価なものですが、韓国食材店に行くとわりと安価で手に入ります。他にはバンダイキノリも食用にされます。
写真にもあるウメノキゴケ科の地衣類は、自動車の排気ガスに弱いため、大気汚染の指標ともなります。つまり、この地衣類が生育できる場所は、空気がきれいだということになります。また、学校の理科の実験で使ったリトマス試験紙は、リトマスゴケからできる紫色の染料で作られます。ロウソクゴケは蝋燭の染色に使われたためこの名前があります。ハナゴケの仲間は鉄道のジオラマに使われるので見た事があると思います。けっこう役に立っているんです。
地衣類には、lichen bug(ライケン・バグ)という地衣類をまとったような地衣類に擬態した虫がいることがあります。日本のものは蓑虫(ミノムシ)のような格好をしているようですが、まだ見た事がありません。ぜひ見つけて撮影したいものです。ちなみにPCでソフトのバグといいますが、バグとは虫のことです。
なにもなさそうに見える冬の里山や雑木林や公園ですが、時にはこんなマイナーな地衣類ウォチングをしながら歩くのもいいと思います。
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★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。コケや地衣類の写真もこちらで。
茶色と灰色ばかりの冬の里山で、青緑や黄色に、時には花が咲いたように赤く艶々と輝いているのが地衣類です。地衣類は、なになにゴケと呼ばれることが多いのですが、コケ類・蘚苔類( せんたいるい)ではなく、藻類(そうるい)と菌類が共生している生物です。それゆえ地衣類を構成する藻類も菌類も単独では生きられません。コケは葉緑体を含んだ細胞でできた緑色植物ですが、地衣類は菌類です。ただコケ類と同じ光合成生物なので、コケ類と生育環境は重なります。
地衣類は、樹皮や岩の上などに色々な美しい模様を描き出します。地衣類は、大部分は子のう菌に属する菌類なんですが、光合成ができないため菌糸で作られた構造の内部に藻類が共生して、藻類が光合成で作り出す合成産物によって生活しています。両者の間には高度な共生関係が成立しているのです。地衣類は、その形態から葉状地衣類、樹皮や岩の模様に見える痂状(かじょう)地衣類(固着地衣類)、枝状になって基質から立ち上がる樹状地衣類に分けられます。ブナの樹皮は、本来は灰白色なのですが、主にモジゴケ科の痂状地衣類やコケなどがつくことによって、あのような風合いのある大木になるのです。
写真の黄色いものをロウソクゴケ科?と記していますが、コガネゴケ科のコガネゴケかもしれません。地衣類の同定は、似ているものが多く非常に困難です。
ほとんどの地衣類は食べられないので(美味しくない?)、食用にされませんが、おやきや天ぷら、酢の物で食べられる珍味イワタケ(岩茸)は地衣類です。食用とされる地衣類はわずかなので、世界の文献にも紹介されるほどです。わが家もトレッキングの途中でイワタケを採取して天ぷらで食べたことがあります。イワタケ自体には味はあまりありません。高価なものですが、韓国食材店に行くとわりと安価で手に入ります。他にはバンダイキノリも食用にされます。
写真にもあるウメノキゴケ科の地衣類は、自動車の排気ガスに弱いため、大気汚染の指標ともなります。つまり、この地衣類が生育できる場所は、空気がきれいだということになります。また、学校の理科の実験で使ったリトマス試験紙は、リトマスゴケからできる紫色の染料で作られます。ロウソクゴケは蝋燭の染色に使われたためこの名前があります。ハナゴケの仲間は鉄道のジオラマに使われるので見た事があると思います。けっこう役に立っているんです。
地衣類には、lichen bug(ライケン・バグ)という地衣類をまとったような地衣類に擬態した虫がいることがあります。日本のものは蓑虫(ミノムシ)のような格好をしているようですが、まだ見た事がありません。ぜひ見つけて撮影したいものです。ちなみにPCでソフトのバグといいますが、バグとは虫のことです。
なにもなさそうに見える冬の里山や雑木林や公園ですが、時にはこんなマイナーな地衣類ウォチングをしながら歩くのもいいと思います。
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