モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

毒草と山菜と。放射能汚染と。二人静の群生地(妻女山里山通信)

2014-06-04 | アウトドア・ネイチャーフォト
 北海道で最高気温が37度という冗談のようなニュースが流れてきましたが、信州も日曜日から連日30度超えの日が続いています。朝夕の灌水が大変ですが、今日でやっと一息つける様です。梅雨入りはいつになるのでしょうか。

 クサフジ(草藤)でクマバチが吸蜜中。クマバチは、その体の大きさに比べて余りにも翅が小さいため、長いこと航空力学的には飛べないと不名誉なレッテルを貼られてきた過去があります。レイノルズ数の理論でそれは説明されたのですが、大きな羽音は、刺さないと分かっていても、やはり驚かされます。クサフジは蜜が少ないのか、頻繁に移動するのでなかなか撮影が困難です。ウスバシロチョウもクサフジにやってきました。一頭が首に巻いたタオルに留まりました。塩分を含んだ汗を吸うためです。コミスジが姿を見せるようになりました。

 林道にモグラの死骸。モグラの死亡原因は、ほとんどが餓死です。非常に大食漢なので、縄張り争いに負けたりして餌場(トンネル)を追い出されると、半日ほどで餓死してしまうのです。太陽に当たって死ぬという俗説は誤りです。
 林道脇のクララ。今頃や梅雨明けの除草で切られてしまうことが度々あります。蝶の食草なので、切らないでください。林下にマムシグサ(蝮草)。毒草ですが、その独特な形から愛好家も少なくない山野草です。秋には短いトウモロコシのような実が成り、初めは緑で後に真っ赤になりますが、毒です。誤って食べると口中がただれ、刺すような痛みに襲われるそうです。

 森のなかにフタリシズカ(二人静)の群生地がありました。ヒトリシズカが花穂が1本に対して、2本なのでフタリシズカなのですが、見ると必ずしも2本ではなく、1本のものもありました。3つ4つ付くのもあります。両方共、静というには似つかわしくないほど賑やかに群生しますが、この静かは煩いの反対語ではなく、源義経の愛した静御前のことです。フタリシズカは、静御前の霊が取り付いた菜摘み女と霊が同じように舞うという、能の「二人静」から来ているそうです。

 全草が猛毒のヤマトリカブト。9月に咲く鳥兜状の花ももちろん猛毒ですが、高貴で非常に美しい。
 タケニグサ(竹似草)も毒草です。茎が中空で折ると黄色い汁が出てきます。これが有毒なのですが、皮膚病、たむし、みずむしなどの薬で、患部に直接塗るのだそうです。以前除草の際に触れてかぶれたことがあるので要注意。
 獣道を進むと、ニホンカモシカの糞がありました。まだ新しく、この日の午前中にしたものです。ニホンカモシカは、巣の近くに大きな糞場がたいていありますが、採食歩行の途中でもするので、縄張りのあちこちにこうした糞が見られます。

 毒草の後は山菜。ユキノシタ(雪ノ下)。この葉を天ぷらにするとモチモチとして美味です。右下に野生の三つ葉が見えます。栽培のものより風味が強烈です。中はワサビ(山葵)の葉。以前、山梨の渓流で野生のワサビの茎と葉を摘んで、酒粕でワサビ漬けを作ったことがあります。これは絶品でした。
 最後はモミジガサ(紅葉傘)。豊臣秀吉の大好物だったとかで、別名をトウキチロウ(藤吉郎)といいます。かなり強いセリの味がします。
 長野市(南部や西山は既に終わっています。北部の1000m以上の所でしょう)、中野市、野沢温泉村、軽井沢町のコシアブラの採取、出荷及び摂取の自粛要請がありました。軽井沢町はタラノメ、ゼンマイも。長野市は犀川の北の山間部。高社山以北の地域、軽井沢町は放射性プルームが流れ、斑状に汚染されています。中でもコシアブラは溜めやすい様です。野生キノコと山菜は要注意。『キノコの汚染と除染について』私が制作したスライドショーです。

 ハルジオン(春紫苑)で吸蜜する3種の蝶と蛾。まずは小さなマドガ(窓蛾)。花との比較でも相当小さいことが分かると思います。
 前回も紹介したエダシャクの一種なんですが、後翅が黄色いのでトンボエダシャクではないようです。色々調べてみましたが、ピッタリと該当するものが見つかりませんでした。なんでしょう。お分かりの方、ご教授ください。
 春紫苑に三頭のウスバシロチョウが吸蜜していました。オス同士で縄張り争いをしたり、メスに求愛したりと忙しい様子です。ウスバシロチョウのメスは、交尾するとオスに交尾板(受胎嚢)をつけられます(写真の腹部に見えるラベンダー色の突起)。交尾したオスが、メスがもう交尾できないように、分泌物の粘液でできた殻をメスの腹部に付けます。言わば貞操帯の様なものです。ウスバシロチョウの交尾は、女性上位です。「シェルのランプシェードの様な翅が美しいウスバシロチョウの交尾は女性上位」。

 妻女山松代招魂社。緑が濃くなってきました。この季節は、桜の木の下を通るときは気をつけないといけません。青虫や毛虫が樹上からぶら下がっているのです。ドクガ(毒蛾)が首筋にポトッなんてなるとかぶれます。6月末には、オオムラサキも舞い始めるでしょう。ウスバシロチョウの撮影中に、男性ひとり、女性二人のハイカーが鞍骨城跡を目指して登って行きました。最近人気がありますね。本郭は見晴らしがよくないので、その20m先に二つの展望岩があることを教えてあげました。

 妻女山展望台から見る善光寺平と飯縄山。左の戸隠連峰は霞んでいます。川中島合戦図の説明看板がずいぶんとボロボロになりました。位置関係がメチャクチャで、絵も実際の地形とかけ離れていて評判の悪かった看板です。関西から来たおじさんに、あまりに酷いやないかいと言われたことがあります。そもそも戦国時代に妻女山という山名は存在しませんから。斎場山(甲陽軍鑑では誤って西条山)です。もうひとつ、展望台の周囲にサクラを植えたのは完全に失敗でした。大きくなって景色が見えません。特に海津城(松代城)方面は、全く見えなくなりました。これはいけませんね。展望台も古くなりました。ここは建て替えて5mほど高くしたらどうでしょう。サクラも切らずに済みます。松本の芥子坊主山にあるような木造の展望台がいいですね。

 ノイバラ(野茨)の花が満開です。花は可憐なのですが、これが森の縁に蔓延ると、中に入れなくなります。「童は見たり野中のバラ」の歌詞で有名なゲーテの詩に曲をつけたシューベルトの「野ばら」。だれもが小中学生の頃に歌った想い出がある曲です。ノイバラは挿し木で簡単に増えるほど繁殖力が旺盛なので、除草作業では刈る対象になります。

 帰りに畑に寄って灌水作業をしました。ヒナゲシが揺れています。シロバナのカスミソウとカモミールも咲いています。カモミールティーでも作りましょう。カモミールには体内の平滑筋という筋肉の組織を落ち着かせる作用があり、腹痛や胃痙攣、女性の生理痛などを和らげる効能があるそうです。神経を鎮めてくれるので不眠症にもいいとか。マウンテンバイクは、ビアンキのperegrineというモデルで、もう20年以上乗っています。さすがにハードワークはできませんが、ポタリングには最適です。30年以上前のプジョーのロードレーサーPF10Jは、長男が修理して今も乗っています。屋代線跡地が、サイクリングロードに生まれ変わるそうで、楽しみです。

 
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★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。

★妻女山(斎場山)の歴史については、「「妻女山の真実」妻女山の位置と名称について」。をご覧ください。「きつつき戦法とは」、「武田別動隊経路図」などリンク記事も豊富です。
このブログでもページの右上で「妻女山」や「斎場山」、「川中島合戦」、「科野」などでブログ内検索していただくとたくさん記事がご覧いただけます。主に古代科野国と戦国時代、幕末から明治維新にかけての記事がご覧頂けます。
川中島合戦と山名についての考察。斎場山と妻女山まとめ。関連記事のリンク集も
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