モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

埴科の名峰・鏡台山で蝶と戯れ、花を愛で、キノコを採る(妻女山里山通信)

2015-09-16 | アウトドア・ネイチャーフォト
 旧埴科郡の中心で、観月の山として有名な姨捨山から見る鏡台山の月は、安藤(歌川)広重が江戸時代後期に描いた『信濃 更科田毎月 鏡台山』にも描かれています。この場合の姨捨山は冠着山のことではなく、姥岩と棚田のある長楽寺付近から描かれたものです。近くにはJR篠ノ井線の姨捨駅と長野自動車道の姨捨SAがあります。「雪降りしきる冬の姨捨駅と長楽寺」。鏡台山と冠着山(姨捨山)も拙書では紹介しています。

 今回はピークハントはせずに、蝶や花やキノコを求めて山のあちこちを歩きまわりました。林道芝平樽滝線の三滝沢上部からの北アルプスパノラマ。左から仁科三山の鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳、不帰ノ嶮、天狗ノ頭、白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳の白馬三山。右手前の黒いシルエットは、神城断層地震で山頂が4割崩落してしまった虫倉山。
 手前の里山の尾根には、ゴルフ場があります。年間約2トンの農薬を撒くそうで、某大学の研究者の話では、下流域の地下水は汚染されているので飲用は不可だそうです。もし、ネオニコチノイド系農薬であれば、生態系や住民の健康に甚大な被害が出る恐れがあるのです。眼下は、千曲市の更埴ジャンクションの辺りです。

 鏡台山のこの山域は、松枯れ病のネオニコチノイド系農毒、エコワン3フロアブルを空中散布していないので、蝶の天国でした。まずはヤマトシジミ。この季節の最も代表的なゼフィルスで、山はもちろん、庭や畑にもたくさん舞っています。除草剤や殺虫剤を使わなければですが。中もヤマトシジミ。右はモンシロチョウ。なかなか活性が高くて撮影させてくれませんでしたが、ノコンギクで吸蜜中を撮影。畑ではキャベツなどアブラナ科の野菜を食べる害虫ですが・・。

 オスとメスでは別種のように模様が異なるメスグロヒョウモン。これはメスで、オスは奥に写っているようなヒョウモンチョウの模様。メスは、翅に青い線が流れたような非常に美しい文様をしています。タイアザミにたくさんいました。

 左は、そのメスグロヒョウモンのメスの翅の裏側。なかなかお洒落な色合いです。中は、メスグロヒョウモンのオスかなと思ったのですが、ミドリヒョウモンのようです。右は、どうやらクモガタヒョウモンのようです。ヒョウモンチョウの仲間は、似たものが多く同定に四苦八苦します。

 タイアザミで吸蜜するスジボソヤマキチョウ。幼虫の食草は、クロウメモドキなど。中は、イチモンジセセリ。後翅の模様がちゃんと撮れなかったのですが、一枚白斑が真っ直ぐらしいカットがあったので間違いないでしょう。右は、2000キロも海を渡ることで有名なアサギマダラ。フワフワと優雅に舞ってなかなか留まってくれなかったのですが、30分ほど待ってノコンギクで吸蜜中を撮影できました。

 タイアザミにキイロスズメバチが飛来。このあと近づきすぎて威嚇されました。別の場所で、アレチウリに吸蜜中の小さな蜂を、オオスズメバチが背後から捕まえて飛び去る瞬間を目撃しました。中は、ヤマハギで吸蜜中のモンキチョウ。この夏、最大の成果は、県の天然記念物のミヤマモンキチョウの撮影に成功したことと、大松山にミヤマモンキチョウがいることを発見したことです。右は、ヤハズソウ(矢筈草)で吸蜜中のヤマトシジミ。

 タマゴタケを見つけました。中はその幼菌。可愛らしいキノコです。非常に美味しいキノコで、セイヨウタマゴタケは、帝王のキノコと呼ばれます。和風よりバターや乳製品と合うのでクリームパスタがお勧めです。「タマゴタケのクリームパスタ」。ただ、テングタケ科のキノコは、猛毒のものが多いので要注意。右は、天然の舞茸。味は栽培種と同じですが、濃厚です。これは360グラムと小さめですが、市場では3000円ぐらいします。実はこの後ろに幼菌があるのです。後日採りに行きます。

 崖の上に咲いていたシナノナデシコ。ほぼ垂直な崖を3mぐらい登って撮影。大変でした。中はキツリフネ。ツリフネソウもありましたが、ほぼ咲き終わっていました。右はキンポウゲ科のセンニンソウ。天然のブライダルブーケで、野草の中ではトップクラスのいい香りです。セリ科のトウキの白い花も見られましたが、リンクの写真の様な大きな群生地はなくなりました。

 最後に拙書の扉の写真にも使われている倉科の三滝へ。これは三の滝。雨が続いたので水量が豊富でした。ヒグラシやミンミンゼミが、まだ鳴いていますが、風と日差しが秋の香りがします。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。この夏は、信州の里山や亜高山を歩いてみませんか。
 本の概要は、こちらの記事を御覧ください
お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応は不可能です。

にほんブログ村 写真ブログへ にほんブログ村 写真ブログ ネイチャーフォトへ にほんブログ村 アウトドアブログへ にほんブログ村 アウトドアブログ ハイキングへ にほんブログ村 歴史ブログへ にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする