昨年に続いて春の訪れが早いですね。節分草の北限といわれる信州千曲市の杉山に撮影に行きました。平日なので誰もいないだろうと思いましたが。二台の車が。一台はなんと青森ナンバー。群生地へ登っていくと二人の男性が。貴重なお話が聞けました。更に貴重な植物の群生地へも連れて行ってもらいました。撮影に戻ると、金沢から来られた父娘と邂逅。当ブログと拙書の紹介もしました。
可憐な節分草。早春に咲き、2、3ヵ月でその年の生活サイクルを終え消えてしまう植物は、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral、春の妖精、春の儚い命)と呼ばれます。セツブンソウの種は、アリが巣に運んで発芽する虫媒花。アリ散布植物です。石灰質の土壌を好み、晩秋から冬の間に、地中深くにある黒褐色の塊茎から発芽します。種子から開花まで3年以上かかるわけですから、林床の環境が良い状態で続かないと生育できません。昔は雑木林に入って草刈りや灌木の除伐や薪拾いをしたので、明るい林床にセツブンソウがたくさん咲いたのだとか。カタクリと同様、人の暮らしと密接な関係にある植物だったのです。ですから、盗掘や自生地の環境が破壊されると真っ先に消える植物です(絶滅危惧植物II類)。節分草は、万葉集には詠われていませんが、平安時代の「本草和名」や「倭名類聚鈔」に「以倍仁礼(いえにれ)」という古名で登場します。
花の直径は約2センチ(ここのは小さく、約1センチ)。花びらに見えるのは萼です。先が黄色く見えるのが退化して蜜腺になった花びらです。千曲市の群生地は、他に戸倉のものが有名で訪れる人も多いのですが、倉科の群生地は訪れる人も少なく静かに鑑賞や撮影ができます。
(左)節分草の説明。(中)長野県鳥獣保護管理員のS氏と邂逅。この丸い葉は1年目のものだとか。(右)2年めの葉。3年目か4年目で開花するそうです。
(左)そのS氏に、次は髻山のセリバオウレン、続いて妻女山陣場平の貝母を撮影に行きますと言ったら、セリバオウレンの群生地が近くにあります。行きませんかと。驚きました。早速現地へ。なんと咲き始めていました。(中・右)これは雄花でしょう。髻山のと比べると草高は半分、花も半分ほどの大きさです。葉がないものが見られましたが、ニホンカモシカの食痕です。山蕗も食べられていました。次にヒメギフチョウの舞う場所に案内してもらいました。ニホンカモシカは、ひとつの植物を食べ尽くすことはありません。驚くほど多様な植物を食べます。それが氷河期から現在まで生き延びてきた理由なのでしょう。
◉可憐なセリバオウレン。北信濃の春を告げる花の群生地を探しに上杉謙信の山城がある髻山へ(妻女山里山通信):人知れず咲くセリバオウレンの見事なお花畑。
清野氏の山城、上杉景勝も籠城した鞍骨城跡。もちろん拙書でも詳しく載せています。カタクリと猛毒のヤマトリカブトの群生地があります。『真田丸』以降、全国から歴史マニアや山城マニアが訪れます。探訪にはぜひ拙書をお買い求めください。10本のエッセイも他では読めない内容だと思います。
万葉の里、倉科から望む白馬三山。
(左)撮影に行く前に、昼食は篠ノ井消防署隣の長崎亭へ。(中)斜向かいの紅日香。激辛味噌ラーメンが激旨です。(右)前回は長崎ちゃんぽんをいただいたので、今回は皿うどん。美味です。隣の二人の御婦人は刺身定食を召し上がっていましたが、何度も美味しいと言っていました。長野市では最高レベルの刺し身が食べられる店だと思います。ご主人は長崎出身とかで、味は本物です。
(左)メニューです。リーズナブル。(中・右)鮮魚のメニューが並びます。海のない信州では貴重な店です。
翌日は、5回目の『ボヘミアン・ラプソディ』を観に行きました。千曲川の土口水門から望む北アルプス。仁科三山。一番右に頭だけ見える五竜岳。左に双耳峰の鹿島槍ヶ岳。右の平家の落人が隠れ住んだと伝わるカクネ里に日本で5番目、信州で初の氷河が確認されました。『ボヘミアン・ラプソディ』は、春休みなので20人以上の、高校生かな、観に来ていました。フレディ・マーキュリーが亡くなってから随分経って生まれた彼らですが、どんな想いを抱いたのでしょうか。最高気温は17度。千曲川の水位は雪不足で低いのが分かります。このままでは田植えに影響が出ることは必至です。
Queen - "Hungarian Rhapsody: Live in Budapest" (1080p / 60fps / 5.1 Surround)
Freddie Mercury - Freddie's Ballads (30 minutes long)
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。長野県シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
可憐な節分草。早春に咲き、2、3ヵ月でその年の生活サイクルを終え消えてしまう植物は、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral、春の妖精、春の儚い命)と呼ばれます。セツブンソウの種は、アリが巣に運んで発芽する虫媒花。アリ散布植物です。石灰質の土壌を好み、晩秋から冬の間に、地中深くにある黒褐色の塊茎から発芽します。種子から開花まで3年以上かかるわけですから、林床の環境が良い状態で続かないと生育できません。昔は雑木林に入って草刈りや灌木の除伐や薪拾いをしたので、明るい林床にセツブンソウがたくさん咲いたのだとか。カタクリと同様、人の暮らしと密接な関係にある植物だったのです。ですから、盗掘や自生地の環境が破壊されると真っ先に消える植物です(絶滅危惧植物II類)。節分草は、万葉集には詠われていませんが、平安時代の「本草和名」や「倭名類聚鈔」に「以倍仁礼(いえにれ)」という古名で登場します。
花の直径は約2センチ(ここのは小さく、約1センチ)。花びらに見えるのは萼です。先が黄色く見えるのが退化して蜜腺になった花びらです。千曲市の群生地は、他に戸倉のものが有名で訪れる人も多いのですが、倉科の群生地は訪れる人も少なく静かに鑑賞や撮影ができます。
(左)節分草の説明。(中)長野県鳥獣保護管理員のS氏と邂逅。この丸い葉は1年目のものだとか。(右)2年めの葉。3年目か4年目で開花するそうです。
(左)そのS氏に、次は髻山のセリバオウレン、続いて妻女山陣場平の貝母を撮影に行きますと言ったら、セリバオウレンの群生地が近くにあります。行きませんかと。驚きました。早速現地へ。なんと咲き始めていました。(中・右)これは雄花でしょう。髻山のと比べると草高は半分、花も半分ほどの大きさです。葉がないものが見られましたが、ニホンカモシカの食痕です。山蕗も食べられていました。次にヒメギフチョウの舞う場所に案内してもらいました。ニホンカモシカは、ひとつの植物を食べ尽くすことはありません。驚くほど多様な植物を食べます。それが氷河期から現在まで生き延びてきた理由なのでしょう。
◉可憐なセリバオウレン。北信濃の春を告げる花の群生地を探しに上杉謙信の山城がある髻山へ(妻女山里山通信):人知れず咲くセリバオウレンの見事なお花畑。
清野氏の山城、上杉景勝も籠城した鞍骨城跡。もちろん拙書でも詳しく載せています。カタクリと猛毒のヤマトリカブトの群生地があります。『真田丸』以降、全国から歴史マニアや山城マニアが訪れます。探訪にはぜひ拙書をお買い求めください。10本のエッセイも他では読めない内容だと思います。
万葉の里、倉科から望む白馬三山。
(左)撮影に行く前に、昼食は篠ノ井消防署隣の長崎亭へ。(中)斜向かいの紅日香。激辛味噌ラーメンが激旨です。(右)前回は長崎ちゃんぽんをいただいたので、今回は皿うどん。美味です。隣の二人の御婦人は刺身定食を召し上がっていましたが、何度も美味しいと言っていました。長野市では最高レベルの刺し身が食べられる店だと思います。ご主人は長崎出身とかで、味は本物です。
(左)メニューです。リーズナブル。(中・右)鮮魚のメニューが並びます。海のない信州では貴重な店です。
翌日は、5回目の『ボヘミアン・ラプソディ』を観に行きました。千曲川の土口水門から望む北アルプス。仁科三山。一番右に頭だけ見える五竜岳。左に双耳峰の鹿島槍ヶ岳。右の平家の落人が隠れ住んだと伝わるカクネ里に日本で5番目、信州で初の氷河が確認されました。『ボヘミアン・ラプソディ』は、春休みなので20人以上の、高校生かな、観に来ていました。フレディ・マーキュリーが亡くなってから随分経って生まれた彼らですが、どんな想いを抱いたのでしょうか。最高気温は17度。千曲川の水位は雪不足で低いのが分かります。このままでは田植えに影響が出ることは必至です。
Queen - "Hungarian Rhapsody: Live in Budapest" (1080p / 60fps / 5.1 Surround)
Freddie Mercury - Freddie's Ballads (30 minutes long)
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。長野県シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。