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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

なごり雪の後のセリバオウレン、バイモ、セツブンソウ。杉山古墳群の積石塚古墳(妻女山里山通信)

2022-03-24 | アウトドア・ネイチャーフォト
 22日(火)は、上雪で東京も雪が降りました。軽井沢は積雪18センチでしたが、長野市南部の妻女山は2センチでした。少なくて済みましたが、湿雪なので貝母がつぶされていないか心配になりました。そして、晴れの木曜日に登ってみました。山仕事の道具を積んで車で上りましたが、道はひどい泥濘状態で車のコントロールが難しく非常に緊張しました。誰かが4番目のカーブの深い溝を埋めてくれていました。これは非常にありがたい。里山保全や林道の保全は、なかなか県や市からは予算がおりません。ボランティアでやるしかないのです。今後はNPOとかクラウドファウンディングとかも考えないといけないのかも知れません。

 なごり雪はほとんど解けていて、セリバオウレン(芹葉黄蓮)もつぶれずに可憐に咲いていて安心しました。この株はすべて雄花です。

 雄花。開いた雄しべには花粉がついています。雄しべの中に見える赤いものは、退化した雌しべです。周囲には、まだ芽吹いたばかりで咲いていないものもあります。

 両性花。なんだかガクと花びらの数が多いですね。以前、髻山でも花びらが14〜15枚のものとかを撮影したことがあります。ガクは5枚、花びらは10〜15枚ぐらいです。吸蜜しているのは、アシナガバエかケバエの仲間でしょうか。雌花もあるそうですが、髻山のセリバオウレンの幻の群生地を発見したのは、2017年でした。どこかで雌花を撮影しているかもと探しましたがありませんでした。

 貝母もつぶされず元気でした。2020年、2021年と春の湿雪でつぶされてしまったので心配していました。それで枯れることはありませんが、草丈が低くなります。見栄えが少し劣ります。

 陣場平中心部の株も蕾をつけ成長しています。種で芽生えたものは、まだ3〜6センチほど。足元をよく見て踏まないようにお願いします。

 観に来られた方が、ずいぶん増えましたねと言うので、ここ2、3年離れた林内の球根を掘り出して中央部に植えていることをお話しました。加えて種がこぼれて増えている分もあります。この日は、ヤマガシュウやノイバラ、ヤマフジの実生の駆除の作業をしました。4月の上旬にも妻女山里山デザイン・プロジェクトのメンバーを集めて作業をしますが、貝母は咲き始めているでしょう。7月には、オオブタクサやハルジオンなどの帰化植物を抜く作業もします。
 26日の土曜日は、午後から暴風雨になる予報です。風速6mというと瞬間最大風速は15mぐらいになるかも知れません。風倒木が出るかも知れません。被害が出ないといいのですが。強風の日は里山に登らないでください。非常に危険です。

 昼はログハウスを借りて。紅梅が咲き始めました。最高気温は14度でしたが、西風が少し冷たい。翌日は最高気温が18度の予報。4月中旬の気候です。

 妻女山展望台からの千曲川と飯縄山。なごり雪で冬景色に戻りましたが、里山や麓の雪はほとんど解けました。堤防のセイヨウアブラナも芽吹いているでしょう。白米がなくなったので、籾(もみ)を持って精米に行きます。そこが、節分草の群生地の近くなので行くことにしました。

 残雪はわずかにありましたが、セツブンソウの雪はすべて解けていました。今回は、一本の茎から二輪咲いているものを探しました。なんと三つ発見しました。これはそのひとつ。

 これも二輪咲いています。ニリンソウの生態については、ひとつ前の記事を御覧ください。

 だんご3兄弟ならぬセツブンソウ三兄弟。三姉妹かな。朝ドラの「カムカムエブリバディ」も大詰めですね。家族約百年の歴史ということで、私は三ヶ月かかって読んだガブリエル・ガルシア・マルケスの『百年の孤独』を思い出すのですが。彼の『エレンディラ』は大好きでビデオも持っています。彼の小説はほとんど読んでいます。ブラジルやアマゾン、アンデスを放浪したために南米文学にはまりました。

 セリバオウレンもセツブンソウも極めて小さな山野草ですが、その群生はほんとうに見事で感嘆せずにはいられません。里山が健全かどうかが分かり、今後の指針も示してくれます。

 前の記事で、発芽して1年目のものは葉が丸いのですと書きましたが、これがそのカットです。すくすく育って増えてくれるといいのですが。

 このセツブンソウの群生地がある千曲市倉科の杉山は、すぐ近くに杉山古墳群があるのです。D号墳。積石塚古墳としては全国でも最古級クラスの方墳とあります。

 裏側へ行ってみると、方墳だなと分かります。陣場平にあるものと比べるとかなり大きい。高句麗からの帰化人の中でもかなり位の高い人でしょう。

 その下にある六角古墳。おそらく盗掘されていて、どこが六角なのか分かりません。これ以外にもたくさんあります。古代科野のクニから古墳時代にかけての遺跡がたくさんある歴史ある地域です。花巡りに加えて、古墳巡りや山城巡りも楽しいものです。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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