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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

千曲市倉科の節分草が満開。春の妖精、スプリング・エフェメラルの季節。ダンコウバイも開花(妻女山里山通信)

2022-03-21 | アウトドア・ネイチャーフォト
 3月の初め頃に、節分草を観に行ったけれども、一面雪で何もなかったと聞いていました。それで節分草のことはすっかり忘れていたのですが、突然思い出し千曲市のサイトを見ると、なんと17日に満開になったとか。午前中は陣場平で保全作業をして、お昼をログハウスで食べてから群生地に向かいました。

 早春に咲き、2、3ヵ月でその年の生活サイクルを終え消えてしまう植物は、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral、春の妖精、春の儚い命)と呼ばれます。

 種子から開花まで3年以上かかるので、林床の環境が良い状態で続かないと生育できません。昔は雑木林に入って草刈りや灌木の除伐や薪拾いをしたので、明るい林床にセツブンソウがたくさん咲いたのです。カタクリと同様、人の暮らしと密接な関係にある植物です。ですから、盗掘や自生地の環境が破壊されると真っ先に消える植物です(絶滅危惧植物II類)。

 セツブンソウの種は、黄色い蜜と一緒にアリが巣に運んで発芽するアリ散布植物。カタクリなどと同じです。アリ散布植物は、セツブンソウ属やカタクリ属以外にスミレ属、イチリンソウ属、フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、クサノオウ属、エンレイソウ属などがあり、自然界におけるアリの働きの重要さが分かります。日本には、アリが絶滅すると絶えてしまう植物が200種以上あるのです。

 花びらに見えるのは萼です。先が黄色く見えるのが退化して蜜腺になった花びらです。一つの茎から二輪の花が咲くものを探しましたが、今回は見つかりませんでした。2018年3月の記事では紹介しています。

 節分草は、万葉集には詠われていませんが、平安時代の「本草和名」や「倭名類聚鈔」に「以倍仁礼(いえにれ)」という古名で登場します。

 逆光に透ける純白のガクも美しい。

 赤紫、青、白、黄色の組み合わせは、なんとなく北欧とかアルプスの高山ぽいですね。清楚で可憐な感じが漂います。

 節分草は、発芽して1年目のものは葉が丸いのです。探すと必ず見つかります。左下にひとつ写っているのですが。分かるでしょうか。

 長野県の節分草の北限といわれる貴重な群生地です。

 入り口の看板。

 林道柴平樽滝線。ずっと登っていくと、あんずの里の森や鏡台山登山口のある沢山峠に続きます。和平高原や坂城にも抜けられます。途中に樽滝や縄文の名水があります。全面舗装ですが、ガードレールがほとんどないのと、落石が多いので注意が必要です。拙書ではその地図を掲載しています。

 天気予報で明日は雪と出ました。タイヤ交換をしてしまったので撮影には行けませんが、2011年3月26日の雪中の節分草を載せておきます。健気(けなげ)でなかなか風情があります。

 午前中は、妻女山陣場平の保全活動をしました。小さな女の子とお兄ちゃんを連れた家族が登ってきました。若い男性も。三連休では最も穏やかな日だったので、何人ものハイカーが登ってきました。ログハウスでは、Kさんが梅の消毒をしたそうです。紅梅もまもなく咲くでしょう。妻女山のあちこちでダンコウバイが咲き始めました。貝母も寒の戻りが終わる週末頃から一気に成長するでしょう。満開の様子は、昨年以前の4月のアーカイブを御覧ください。群生地が増えているのも分かると思います。

妻女山陣馬平の貝母を発見してからの保全活動の歴史。今年も満開です(妻女山里山通信) :貝母を発見してからの保全活動の歴史が分かります。

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本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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