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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

髻山のセリバオウレンは残花でした。老いの美。妻女山の貝母はすくすく(妻女山里山通信)

2021-03-27 | アウトドア・ネイチャーフォト
 髻山のセリバオウレンの幻の群生地へ行きました。幻というのは、登山道からも遠い藪山の中にあるからです。昨年の満開が今頃だったので訪れたのですが、既に残花でした。見頃は一週間前でしたね。今春は昨年より一週間早いです。陣場平の貝母の生育も昨年より早い。杏も咲き出しました。信州の春は短いのです。超特急で通り過ぎて行きます。

 セリバオウレンのこれは雄花です。セリバオウレンは、キンポウゲ科オウレン属の多年草。葉はすべて根生し、2回3出複葉。雄花と両性花があります。これは雄花。花びらのように見えるのは5枚の萼片で,その内側の淡い黄色の9枚が花弁なのですが、遠目に肉眼で見るとほぼ純白です。中央の赤紫のものは、退化した雌しべ。

 残花の証。風雨でとっちらかっていますね。

 両性花でしょう。内側に順に雄しべ,雌しべ。

 日当たりのいいところの両性花は、アントシアニンが少なく、緑がかっています。

 両性花。年によって雄花が多い年と、両性花が多い年があります。理由は分かりません。人知れず咲くセリバオウレン。地元の人も知らない群生地。セリバオウレンは薬草で消炎、止血、精神不安などの薬です。健胃(けんい)、健胃、整腸薬として消化不良や下痢止めにも用います。有効成分は、アルカロイド(ベルベリン)、パルマチン、コプチシンなどです。

 雄花。透明感のある萼や花弁が魅力的。内側の淡い黄色の花弁が分かると思います。芹葉黄連という名前の由来は、古代には、カクマグサ、ヤマクサと呼んでいたそうですが、中国名の黄連と、カクマグサ、ヤマクサと同じ植物と間違って、黄連の名をあてたといいます。「本草和名」や「和名妙」に記述があります。また、江戸時代の貝原益軒は「大和本草(1708)」で、「日本の黄連性よし。故に中華、朝鮮にも日本より多く渡る。中華の書に日本産黄連を良とす」と記しています。

 山蕗を採取。髻山の山蕗は大きくて味も濃いのです。今回は旬のアサリとボンゴレビアンコ風にします。右はタネツケバナの群生地。

 色々用事を済ませた後に妻女山陣場平の貝母の群生地へ。一週間で随分と成長しました。昨年の満開は、4月15日でしたが、今年はもっと早くなりそうです。17日に妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業をする予定ですが、悪天候がなければ充分見頃だと思います。満開時はできるだけ現地でみなさんの案内をしたいと思います。貝母は奈良時代に中国からもたらされたといい、万葉集にもそれではないかという一首があります。昔は全国に薬草畑があった様ですが、現在これだけの群生地はここしかありません。

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