今、団塊の世代の退職に伴う技術伝承の問題が論議されている。
私はその団塊の世代の人達が入社したころから、中堅社員になるまで、下級管理職として、直接関わっていたので、私の経験からこの問題を考えて見たい。
この問題については、
続・日本経済活動の長期戦略で
戦後生産ラインの合理が非常に進んだ為に、要員の育成まで手が廻らなくなり、今日の技術伝承問題までになったこと。
その一方では、事務、管理部門では、合理化が遅れてバブル崩壊後の大量レイオフの対象となったこと。
にも触れた。
ここでは元管理職の眼から見た団塊の世代の人達の入社から今までの彼らの置かれた状況の変化について書いて、合理化問題の観点から、問題の発生とその対策を具体的に考えて見たい。
最初に、お願いしておきたいのは、私が勤めていた会社は、その部門では、日本の一、ニを争う大会社だったがごく普通の会社で、他の進んだ大会社や、中小企業の会社の状況と違ったところも多いと思うことは了承して貰いたい。
A.団塊の世代が入社ころの状況
1.バブル初期で新しい工場の建設ラッシュが始まっていた。
2.品質管理活動(QC活動)などの小集団活動が取り入れ始まっていた。
[小集団活動が取り入れられた理由]
この理由はは一般に言われている純粋に生産性向上の理由の他に、
(1)そのころ盛んだった、労働運動に手を焼いていた。
(2)新設の工場では、作業員の仕事は、手を使った作業より、器械の監視やボタンの操作が中心となり、旧工場より余裕ががあった。
(3)小人閑居すれば不善をなすではないが、暇にさせていては共産主義などろくなことを考えない。
(4)暇が多いことはまた士気の低下に繋がるので、暇の時間を作らせないために小集団活動を取り入れる
と言う理由もあったようだ。
3.従業員の管理職への登用、それの出来ない従業員に管理職意識をもたせる。
前にも書いた労働運動の対策として、従業員を出来るだけ管理職にし、労働組織の脆弱化を図り、そうでない従業員に管理職意識を持たせた。
その結果が、管理職の残業代カットやサービス残業に繋がり、ホワイト・カラーの合理化を遅れバブル崩壊時の大量レイオフに繋がった。
B.団塊の世代の成長の時代(バブル時代)
1.人員の削減
工場の新設拡張に従って合理化が進んでいった。
例えば旧工場の規模の作業員が10人で運転していたとすると新設の工場では8名に減らされる。
景気が一時的に下向きになると、合理化で7名に減らされる。
景気が回復し、また新設工場が出来ると6人で運転することになる。
この繰り返しで、結局昔は同規模の工場を10人で運転していたのを、5人から6人で運転することになり、毎日の仕事をこなすだけで精一杯で技術の伝承の余裕がなくなる。
2.外注作業の増加による技術の流出
C.団塊の世代中心の時代
バブルの崩壊に伴う、社内の育成施設は廃止、中堅社員の一部のレイオフでで、技術伝承など殆ど出来なくなる。
D.団塊の世代の退職で、技術伝承問題が起こる。
<<極端な合理化がもたらすもの>>
後から考えてると、会社の無策ぶりが明らかだが、これは勿論前にも書いたように、ごく普通の会社のすることで、優れた会社と普通の会社の格差が出てくるのも当然だと思う。
それと、極端までの合理化は、
1.今、流行の言葉で言えば、持続可能な成長のための障害になりかねない。
2.毎日決められた仕事で追われる、従業員のロボット化、彼らの士気の低下、今まで会社を支えてきた、小集団活動による従業員のアイディアの埋没に繋がりかねないような気がする。
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