月に一度新聞と共に配達されるフリー・マガジン「リセット」の読者投稿欄に、多くの読者から「10秒のキス」を見て涙が止まらなかったとの投稿があった。
これは全国亭主関白協会の会長として、最近マスコミを賑わしている天野周一さんのエッセイだ。
大変いい話と思うが、全国亭主関白協会のホーム・ページと地域版の「リセット」に載っているだけ、それも福岡県の福岡、筑後、北九州地方に限られているだけのようなので、全国の人にも知って貰いたいと思って紹介する。
彼のコラムに書いてある「勝手にコピーすることを許可する」との言葉に甘えて、そのハイライトをそのまま拝借することにした。
ハイライトとしたのは、この紹介記事に感動された方は、その全文を再度読まれても決して損はしないだろうと思うことと、読者に全国亭主関白協会のホーム・ページの存在を知って貰うことで、天野さんの文をコピーさせて貰った御礼に少しだけはなれると思うからだ。
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「10秒のキス」、全亭協のシンボルストーリー
部活で遅れる長男を除く、二人の子供と妻の待つ病室に入った。
乳ガンが全身に転移し、余命幾ばくもないと、みんなが知っている。モルヒネの効果だろうか、いつになく穏やかな顔だった。
親の反対を押し切って結ばれた私たちは、社内恋愛だった。三人の子供にも恵まれ、それなりに幸せな毎日を送っていた。
今はもう、ベットに横たわる妻を見つめることしか、なす術がない。やがて先生は病室を去り、二人の看護師さんがテキパキと点滴を換えている。
長男が慌てて、病室に駆け込んできた。
家族が全員揃ったのは久しぶりだ。
子供たちの近況を聞いていた妻が、少しの微笑みと共に、私の方に目をやると、唐突に
「あなた、キスして」と言った。
二人の看護師さんと三人の子供たちには聞こえたのだろうか。一瞬ハッとしたが、ためらいもなく唇を重ねた。
生涯の中で、こんなに長いキスは初めてのような気がした。
薄目を開けて見れば、ひとすじの涙が頬を伝っている。そっと唇を離すと、嬉しそうに、だが、「短いのね」とスネてみせた。
看護師さんも子供達も見て見ぬふりをしていたような気がしたが、私は、「ふたりっきりの時にリクエストしてくれよ」と頭を掻いた。
精一杯の照れ隠しだったが、病室は静けさに覆われている。
やがて深い眠りが訪れたのを確かめて、病室を後にした。涙で、病院の長い廊下がユラユラと揺れていた。
それから丁度二週間後、妻は静かに息を引き取った。
満開の桜の下で遺影を抱いた長女が、「あの時の母さん、とっても幸せそうだったね」とポツリ。
子供の前で交わしたキスからもう3年が経った。3人の子供達の心に深く刻み込まれたのだろう、短大を出た長女は、大学生と高校生になった弟達の面倒をよく見てくれている。 2人の息子達も明るく、真っ直ぐに育っている。
君の、最後のメッセージは、決していい夫ではなかった私の心にも、永遠に灯っている。
そして二度と交わすことが出来ない、君との「10秒のキス」を一生忘れないだろう。
全文を読むには
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