普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

麻生太郎さんの研究

2008-05-09 11:37:28 | 福田内閣

 麻生太郎さんの人柄を考えるには先ず彼が生れた地域の人柄を書く必要がある。
 麻生さんの生地の遠賀川流域では筑豊炭田の炭鉱景気で栄えた所だ。
 筑豊炭田、その石炭を運ぶ水路である遠賀川、その積み出し港である若松の住む人達には共通した気質がありそれを川筋気質(かたぎ)と言われた。 

[川筋気質]
川筋気質のキーワード
 ぐずぐす屁理屈を言うのを嫌う、竹を割ったような性格を好む、諦めるのが早い、荒っぽい、大雑把、見栄っ張り、義理と人情を重んじるなどなどだ。
 飯塚市で生れた松本廣さんのさんのホームページを借りると、川筋気質の生れた土壌として炭鉱には、
 共同生活を営む長屋文化があったことだ。長屋があるところ共同炊事場ありで、女性たちの井戸端会議が催され、世の男たちの品評が始まるのは自然の成り行きだった。女性たちの目は厳しく、男たちは丸裸にされ、鋭い舌鋒で解剖され、けなされ、男の品定めが行われ、彼女たちの間で男はますます磨かれていった。
 その結果、女性たちは家の「宿六」に向かって、「あんた、男やろうが何をしよるとね。キンタマ付けとるとやろうが、シャンシャンせんね」とハッパをかけることになり、ハッパをかけられた男たちは、恐い母ちゃんの顔色をうかがいながらせいぜい気張ることになった。
 宿六の友人が訪ねてきたとき、貧乏所帯で切り盛りしている女房は、自分の着物を質に入れ無理してでもご馳走した。
 炭鉱の女性は本当に強かった。彼女たちが強いのは、真っ暗な坑内で男たちと同じように働いたということもあるが、自分の裁量でお金を自由に動かせたからだと思われる。家内業の農家や商家の女性たちと違って、炭鉱の女性たちは会社から直接給金をもらっていた。当時の筑豊の女性がいかに強かったかは、女性が外で働くようになった現代、どんどん強くなっている女性の姿に容易に見て取れるはずだ

 とユニークな理論を展開している。

私の経験
 私も炭鉱全盛時代に一度だけ、炭鉱の長屋に泊まったことがある。
 丁度夕餉どきで、長屋の前で各戸が、石油缶で石炭を赤々と燃やして七輪のおき作っている風景は珍しかったが、共同浴場にいって身体を拭こうと思って壁に向くと、丁度局所の前の壁に女湯を覗ける大きな穴が開いていたのに驚きまた、一種の開けっ広げのおおらかさに感心した記憶がある。
 
[川筋で育った人達]
 なお川筋気質と麻生太郎さんの人柄を知って貰うために川筋で育った、下記のような有名人達のことを考えるのが手っとり早い。
・田中六助 (田川郡)
  佐藤栄作・大平正芳時代に活躍した侠客めいた気性で知られる自民党の領袖
・火野葦平(若松市)
 「糞尿譚」・「麦と兵隊」・「土と兵隊」の作品で知られる親分肌の剛毅な気性の作家
・仰木彬(中間市)
・高倉健(中間市)
・魁皇(直方市)
 なおNGO ペシャワール会の支援を受けてパキスタンやアフガニスタンへの人道的な国際協力に活躍している、有名な中村 哲医師はさんは福岡市生まれであるが祖父母ゆずり(火野葦平は伯父にあたる)の川筋気質がその活動の源となっていると言われている。

 上記の人達の中で若い人達にも良く知られている人達の人柄を主として Wikipedia の資料に従って紹介する。(以下敬称は省略させて頂く)

仰木彬
・現役時代は二塁手として活躍したが、名選手の稲尾和久・中西太・豊田泰光の影に隠れていた。
・近鉄、オリックス監督としては、何度もリーグ優勝に導いたが、日本一になったのは僅か1度だけだった。
 尚、余談だが、オリックス監督就任のさい、かっての名選手で仰木さんより上位の成績を残した中西太さんが、コーチとして彼を支えたのは仰木さんの人柄に惹かれたのかも知れないが中西さんも偉いと思う。
・監督として何度もリーグ優勝をしたが、日本一になったのは一度だけだった。
・野茂英雄や、これまで2軍暮らしを続けていたイチロー、田口壮を育て開花させた。
 しかもその全員が仰木のことを「師匠」「尊敬する人」と公言している。
・様々な奇策による好采配は「仰木マジック」と呼ばれた。
・大雑把な性格で良く遊ぶ、酒豪、温厚そうな外見とは裏腹にかなり気性が激しかった。
・試合においても勝負に徹する冷徹さ
・オリックス監督としての最後の試合では、試合後オリックスの選手による胴上げに次いで、対戦相手である近鉄の選手たちからも胴上げをされ、仰木監督が選手に与えた影響力、求心力をあらわす光景が見られた。

高倉健
・礼儀正しい人物、非常に落ち着いた物腰、礼儀正しい、役作りに熱心、謙虚
・多くの俳優から非常に慕われ、こよなく尊敬されている。
・中国の映画監督・張芸謀(チャン・イーモウ)は、『単騎、千里を走る。』の撮影の際、高倉が休憩の時に椅子に一切座らず、他のスタッフに遠慮して立ち続けていたのを見て「こんな素晴らしい俳優は中国にはいない」と言った。
・元夫人であった江利チエミの命日である2月13日には、毎年早朝にひっそり一人で墓前を訪れ、花を手向けている。

魁皇
・気が優しくて力持ち、豪快だが荒っぽい取り口、勝つときは滅法強いが負けるときころころっと負ける。
・地もとの九州場所は勿論だが、他の場所、そして力が衰えた今でも絶大に人気がある。

 以上書いてみると気づくのはは田中六助さん、自殺した火野葦平さんを含めて、皆人が良くて面倒見がよいこと、高倉健さんを除いては、その優れた能力にも関わらず、荒っぽさ、大雑把さのためか知らないが、全て業界での二番手で終わっていることだ。

[麻生太郎さんの評価]
 彼の事を今更紹介する必要はないと思うので私の見方だけを書く。
人柄
・彼の特徴は今までいろいろ書いて来た、川筋育ちの人達と同じように、親分肌、人の良さ、荒っぽさ大雑把さからくる数々の失言などだ。
 そして(私が炭鉱の風呂で見たように)開けっ広げなことから感じさせる脆さだ。
 また今の政局で一番懸念されるのは、多くの川筋育ちの人達のように、人気はあるがまた二番手で終わる可能性ががあるかも知れない事だ。

政治家としての評価
 麻生さんの著書の
「とてつもない日本」の内容は90%はほぼ納得出来る内容だ。
  然し、その表題に見る様に、「日本は必ずよくなる」、「ニートも捨てたもんじゃない」、「高齢化を讃える」、「格差感にだまされてないか」、「地方は生き返る」など余りにも楽観的過ぎる。
 それは彼の性格によるものか、次期首相を狙っての発言かしらないが、「中国の台頭を喜ぶ」は、私の中国の台頭→日本の競争力の低下→非正規従業員の採用→所得の低下→格差社会の発生→日本の貧困化の持論と真反対の意見だ。
 そして私は昨日のブログで実利主義の中国とは車間距離を持って付き合う必要があると書いたが、麻生さんはそのいずれの現実にも触れようとしていない。

 今日の読売によれば、文藝春秋での与謝野さんとの対談で、「次期の予算は民主党と一緒に組んだら」と提案したそうだが、そんな提案に乗って来る民主党なら、今までの海上給油、日銀総裁指名などのごたごたはとうの昔に解決している筈だ。

 いずれにしても、麻生さんはその人柄から多くの国民の支持を受けている割合に、肝心の自民党内での人気が高くないようだ。
 そしてまた多くの川筋出身の有名人のように、永久に二番手を走り続けることになるかも知れない。
 同県人の私としては、一度首相としての彼の手腕を見てみたい気もするのだが。

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