昨日各マスコミで、職場でのストレスなどが原因で「心の病気」となったとして、労災認定を受けた人は前年度比3割増の268人で、過去最多となったことが23日、厚生労働省の調べでわかったことが報道された。
[うつと過労死の増加]
本日付けの読売新聞によると、概略次のように報じている。
・268人のうち、未遂を含む自殺(過労自殺)も15人増の81人で最多、長時間労働などで脳や心臓の病気になり、労災認定を受けた人も過去最多となり、労働環境の悪化で疲弊する人が増えている実態が浮き彫りになった。
・心の病気を理由とした労災の申請者数も、952人と過去最高を更新した。
・脳や心臓の病気で労災認定を受け、いわゆる「過労」と考えられるのは前年度比1割増の392人になった。
・過労の392人を原因別にみると、長時間労働が主因とされたのが362人。1か月平均の残業時間では80時間以上100時間未満が135人で最も多く、100時間以上120時間未満も91人、160時間以上も35人に上った。
・厚労省は、1か月の残業80時間以上を「過労死ライン」として認定の目安にしている・年齢別では、50歳代の163人と40歳代の115人で、全体の7割以上を占めた。心の病気とは異なり、中高年層で働き過ぎが目立つ結果となった。
・厚労省ではこれは「職場環境が厳しくなっていることを反映した結果であり、企業に対する指導や監督を強化していきたい」としている。
[経団連の責任?]
私の現役時代はうろ覚えだが、1か月の残業時間の限度は80時間で、それ以上は法律違反になるので、管理者は皆非常に気を使っていたのを思い出す。
現在の労働基準法をネット上で調べてみると、原則的な限度時間は1カ月45時間だが、残業時間の上限に関しては、行政官庁は「過重労働防止など職員の健康等を配慮した限度時間に関する指針」に基づいて使用者及等に対して職場の健康管理など、必要な助言及び指導ができることになっているそうだ。
参照:得々情報(残業時間の限度基準について)
いつこの様に法律が変わったのか知らないが、非正規労働者の使用によるコスト削減を狙った労働者派遣法を提案した経団連からの圧力があったのかも知れない。
それが月に160時間以上の残業と言う途方もない労働者酷使が違法とされずにまかり通っている理由だと思う。
私は可哀相なマクドナルドの店長でも企業のあり方について書いたが、今日は日本の伝統的な家族主義的経営を目指す企業と今日流行りの徹底的成果主義で生き残りを図るかる企業の比較により表記の過労死やうつの増加の問題を考えて見たいと思う。
[家族主義的経営を目指す企業と成果主義の経営]
経営方針
家族主義的経営の会社(以下F社とする)
従業員個人の能力を活かし、製品開発、体制や運営システムの合理化に全員参加させ、競争力を高める。
成果主義の会社(以下P者とする)
徹底的な体制や運営の合理化、最小人員で最大の利益を上げることで競争力を高める。
従業員の企業への忠誠心
F社:マイ会社の意識で、自分の責任範囲の会社の事や設備に対しても、自分の家庭のように関心を持つ。
P社:労働を提供しその見返りの給与を持つだけの繋がりで、自分の生活の安定的確保以外の会社への関心は少ない。
従業員数
F社:最低人員数にある程度の余裕を持たせる(例えば10%)
P社:最低人員に殆ど余裕を持たせない(例えば0~2%)
管理者の職務
F社:責任部署の業績の向上、部下の指導と管理、必要な時の部下の援助、情報の収集、責任範囲の業務にかんする研究
詰まり管理者には残業代を払わなくて良いというのは、管理者がこのように余裕のある仕事をしていることが前提になっていたのだ。
P社:責任部署の業績の向上、部下の指導と管理、部下の欠員が出来たときの代務、管理者自身に割り当てられた雑務
従業員の能力の活用
F社:一般要員は仕事の合間や、小集団グループの活動により改善提案をする。
管理者は要員の自主活動の指導、他社、他部門からの情報または自身の研究の成果を業務に活かす。
P社:日常業務処理で責任者、一般従業員も考える余裕なし。
会社自身も始めからそれを期待していない。
管理者も部下の指導や自分で勉強する余裕もない。
一般従業員の意欲
F社:改善提案が少ないが仕事は確実だ、仕事で時々ミスをするが良く改善提案がでるなど、要員の個性が活かせる。
P社:割り当てられた仕事をやるだけ→退職者の増加
管理者の育成
F社:現職管理者による育成(例えば管理者が休みのときは候補者に臨時に代務させるなど)→実際に就任させる前にある程度の評価が出来る。
P主:育成の時間がない→後は当事者の努力に待つ→管理者のうつの増加。
欠員の補充(企業の業務の拡張、従業員の病気、退職、産休など)
F社:部下の仕事を範囲を調整して捻出、一時的な残業時間の増加
P社:残りの人員でなんとかする→残業時間の増加
管理者が代務の頻度の増加→残業時間の増加
要員もこのことを知っているのでつい無理をする→病気
[成果主義の弊害]
以上パターン化して書いているので、その割合は違ってもどちらの性格も持っている企業が多いこと、実際には私が書いた以外の問題も多いと思う。
ただはっきりしているのは、最近よく言われる成果主義的な人事管理が大きな影を落としているのは間違いない様だ。
最低人員の長時間労働→過労やうつなどの心の病気→要員の退職→人員不足または訓練不足の要員の入社→長時間労働の悪循環に陥っているようだ。
特に過労死に関しては、40~50歳代の人が全体の7割を占めていることは、本来は余裕を持って部下のほうに眼を見張っていなけれ゛はならない指導者や管理者自身も最低人員を抱えているために、自分で手を出して夜遅く働かねばならぬ厳しい実情を示している。
私は日本の企業が是非昔の家族主義経営の良い所を見直して貰いたいと思うし、政府もこのような悲惨な事態を避けるために労働基準法の見直しをして貰いたいものだ。。
[現役の方たちへ]
もう一つこのブログを訪問されている現役の方達に知って貰いたいのは、企業の経営はどうであれ、私がいつも言う様に、
・40~50歳代の人達の過労死や長時間労働が原因で脳や心臓病にならない様に、くれぐれも健康に気をつけて必ず健康診断を受け、悪ければ早い内に直ぐ処置をすること、
・そして出来れば身体と頭を動かす趣味をなんとかして持って貰いたいものだ。
仕事以外の趣味を持つ事が「うつ」防止に繋がり、40~50歳代の健康と趣味が退職後どれだけ長く余生を楽しんだり、なんらかの形で社会の貢献できるのだ。
勿論、信念に従って自分の健康や余生のことなど考えずに、企業のために全力を上げて働くのも立派なことだが、少なくとも退職後に悔やむことのないようにして貰いたいものだ。
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