普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

社会福祉制度の充実のために

2008-05-12 11:43:19 | 少子高齢化

 昨日、NHKで「セーフティーネット・クライシス~日本の社会保障が危ない~」と言う特別番組を放送していた。
 私は最後しか見ていなかったが、番組の案内によると、
リストラされ健康保険を失ったサラリーマン。ヘルパーが来なくなり一人暮らしに窮する高齢者。企業社会と家族が変容する中、危機に立つ社会保障を立て直す課題を探る、という内容だったそうだ。

[金子さんの提言]
 私が見始めた時ゲスト3人の中で、NHKお気に入りの、慶応義塾大学教授の金子 勝さんが自説を展開していた。
 金子さんの論旨は、
・社会福祉制度充実すべきこと
・その中でも出生率2人まで回復したフランスに倣って、子供を持つ女性への支援設備を充実して、日本の出生率を上げるべきだ。
・政府が支援に直接乗り出すべきだ。
・大きな政府でもGDPの上がった国は多いので必ずしも大きな政府が悪くはない。
と言うものだった。

[私の意見]
 私は何かにつけて政府批判に廻る金子さんの発言には首を捻ることも多いが、彼の出生率向上策は少子高齢化に伴う諸弊害、例えば年金、医療、介護などの破綻防止への前向きの投資として評価出来る。
 金子さんの言葉を私なりに翻訳すれば、小泉さんの進めている小さな官から民への思想に基づく小さな政府、民主党が主張している増税より先ず政府機関の合理化により税源を捻り出すと言う考え方の考え方には反対で大きな政府にすること、それで各種福祉政策を充実しろと言っているようだ。

 然しこの番組では社会保証の充実に伴う金の問題は私がみた番組の後半では全くでていなかった。
 金子さんの事だから、その財源についても考えがあると思うが、私なりに考えて見た。

財源についても昨日も書いたが、
平成19年度一般会計予算  82.9兆円
 国債費                           21兆円(内利払費9.5兆円)
 社会保障費                    21.1兆円 
 地方交付税交付金等        14.9兆円 
  公共事業                          6.9兆円 
 文教科学振興                   5.2兆円
 防衛費                              4.8兆円
 中小企業対策                 0.16兆円 
をみると、素人が考えて、この内ひねり出せそうなのは公共事業費と防衛費だが、防衛費については一国主義でしかも軍事力強化に異常に力を入れている中国とロシヤを隣国に持つ日本としては安全保証の点から簡単には削減できそうにないような気がする。
 残るのは公共事業費だが、将来の発展への投資に絞って考えて見ても今の道路建設問題のようにややこしい問題があるので困ったものだ。

増税の必要性
 残るのは増税だ。
 これに就いては文藝春秋4月号では、
これには竹中平蔵さんなどが言うように、「増税ありきの財政再建は失敗する」理由として、個人消費の減退→国内需要の低下→景気の低迷→企業収益悪化→税収減と言う悪循環に陥るおそれがある。
 すでに割高にある法人税率を更に上げれば、日本企業が海外に逃げてしまう。
とすれば政府による経費の徹底てき削減だ。
 国民に税負担を願うのは大鉈と振るった後だ。
と主張している。

 文春の主張を逆に読むといずれ増税は致し方ないと言っている。
 文春が心配する法人税については、いくら自民党や次に政権を取る民主党が頼り無いと言っても、今法人税をあげるような馬鹿なまねはしないと思う。
 残る問題は消費税アップか環境税などの形の受益者負担による増税しか残らないと思う。
 消費税アップの時は、誰でもが考える様に、食糧などの国民生活の基幹となるものに付いては据え置きするのは勿論だ。

 増税に関しては主要国の05年から06年のGDPの伸び率税収(04年の対GDP)を並べてみると、
          GDPの伸び率  税収 (内消費税)
フランス            5.2        43.4    11.1
英国                5.9      36.0    11.5
米国                5.1       25.5     4.7
ドイツ               4.4        34.7     11.1
日本             -4.0      26.4      5.3

となるように文春が言う様に税金の高さとGDPの伸び率は関係があるかも知れないし、上げない方が良いのは勿論だが、それが絶対的なものでなく他の影響(日本の場合は中国)も大きいとが判る。

 増税による個人消費の減退→国内需要の低下以下の問題については、多くの人が日本経済の回復には国内消費の増大の必要性を言っているが、もう飽和状態になっている日本の国内市場の拡大は、環境問題も絡んで今後は殆ど望めないし、中国、インドなどの新しい巨大市場の実現で日本企業が国内市場に頼る割合は今後益々減少してくると思う。

増税に関しての選択肢
 一番大きな問題は、増税→国民の負担増→生活が苦しくなることだ。
 この観点から考えてみると日本として二つの選択肢が考えられる。
1.現状維持
 今のような貧乏になりかけてはいるが、未だそこそこの収入で、ある程度の暮らしが享受できる。
 然し日本の国全体としてはじり貧、前途に明るい展望もなく、士気もモラルも低下したままで推移する。

2.増税
 文春の言う様に、個人消費の減退→国内需要の低下→景気の低迷→企業収益悪化→税収減→さらなる増税(然しこれはある所で収斂してくる)。
 増税によって相対的な収入の低下で国民の生活が苦しくなる。
 然し、金子さんのいうように安心して子供を育てることで、少子高齢化の問題が少しづつでも解消し、特に老人を中心とする医療問題に明るい展望が開け、さらには日本の借金の減少で将来の財政が楽になり、中小企業を中心とする私企業などの支援の強化→日本の競争力の回復など明るい希望があ。

今こそ頑張る時
 私は 2.の増税で、国民の生活、企業の経営が苦しくても、今日本全体が頑張る時期だと思う。
 一口で言えば戦後への回帰だ。
 小泉さんの言う米百表の精神だ。
 左派系のマスコミは過去の政府の失敗を国民に押しつけるのかと言うだろうが、今はその前に財政を建て直し、それから政府の過去の失敗の教訓を活かすしかないと思う。
 昔は皆貧乏だったが、皆希望を持って頑張ってきた。
 日本はその貴重な経験を持っているのだ。
 だからやれば出来ない事はないのと思うのだが。

 問題は政府がどれだけのリーダーシップを持って適切な政策で日本を立て直すことが出来るのか。
 国民が今となって貧乏に耐え得るかどうかだ。

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