12日の読売新聞に「中小企業多い泣き寝入り」「取引先への技術流出」の見出しで、次のように考えられないことを報じていた。(Web資料なし)
[下請けのノウハウを横取りする大企業]
下請けの技術を盗む
・大阪市の非鉄金属メーカーの場合、自社の高性能の部品を僅かな量だけ発注してきた大手企業があった。
それが2カ月続いた後大手企業は「工場を見学させて欲しい」と申し出があり技術部門のトップを含む10人以上を乗り込ませた。
受け入れた経営者は「うちの機械や製法を覗きに来たな」と思ったが返す訳にもいかなかった。
そして翌月からその大手企業からの注文はなくなった。
下請けの特許を横取り
・別の中小企業は独自の技術を特許に登録したところ、大手企業が周辺技術の特許をどんどん取得したために自前の特許が事実上使えなくなった。
経営者は大手企業への不信感を募らせ、今後「会社の利益につながる技術は特許にせず、隠し持つことにしたそうだ。
これに対して経済産業省が06年に357社から得た調査では「人を介した技術流出があった」と回答した企業が約80社に登った。
そしてその流出の原因は「取引先の従業員」28%、合弁・提携先企業の従業員」が24%もあったそうだ。
無断で下請けの設計図利用
この種の問題は数年前にも報道された。
それで私の記憶に残っているのは、昨日の読売でも出ていたが下記のような被害にあった金型メーカーなどの数例だった。
神奈川県の金型メーカーが大手企業の依頼で、精密部品の成功な金型を作った。
然し数カ月後注文はぱったり途絶えた。
原因は契約時に提出していた図面を用いて自社設備でその金型を生産し始めたからだった。 (当時の報道では中国に進出した他の下請けに作らせた。)
念のために付け加えておくが、金型の図面には例えば上型と下型の隙間を何ミリにするかなど、企業のノウハウや技術の多くが入っているのだ。
然し、それからそのような報道は暫く途絶えていたので、改善されたのかと思っていたのにまた昨日のような事例の報道を見て驚きかつがっかりした。
いまころの企業の倫理感はどうなっているのだ。
[企業の倫理観]
それに対して経済産業省は企業の秘密管理の指針を纏めるなど中小企業の支援に努めているそうだ。
そのような事まで大企業とあろうものが、政府に迷惑を掛けているのか。
それと似た企業の倫理観のない例が最近の企業経営のあり方で新聞を賑わせている。
搾取される労働者
・名ばかり管理職と言う名の残業代搾取
・非正規労働者の採用による同一労働同一賃金の原則違反→社会格差やワーキング・プアの発生
・海外労働者に対する技術研修の名目での単純労働者の採用と、それに伴う各種の法律違反
しかもこれが深刻なのは、カンバン方式で有名なトヨタ、そしてそのトップが経団連の主要な幹部の位置を占めているトヨタのお膝元の愛知県で特に多いことだ。
詰まり彼らは知的財産権や労働基準法で定められた法律ぎりぎりの所で、下請けイジメをしたり、昔の左翼の言葉を借りれば労働者の搾取をしているのだ。
そしてこのブログのテーマとはずれるが、企業経営者達の謝罪会見はとうに見慣れた光景になってしまった。
法律に反しなければ何でもして良いのか。
[自ら自社の力を削いでいる大企業]
実利面から考えても、日本の産業経済を支えていると言われる中小企業いじめをしてその衰退に追い込んでいるのだ。
まして例に上げたような大企業にとっても戦力となる、優れたノウハウや技術を持っている優れた中小企業を泣かせてどうしようと言うのだ。
その一方で、労働者を安い賃金で雇い単純労働をさせて、その人達の意欲を失わせ、その持っているかもしれない無限の力を引き出せないまま放置している。
しかも企業のまとめ役である、経団連は残業代ゼロ法案と悪名の高い、「ホワイトカラー労働時間規制適用免除制度」を政府に提案までしたが、世論の反発にあい安倍さんがそれを棚上げにしたことさえある。
勿論、超低賃金の中国の台頭で競争力低下に悩む経営者が法ぎりぎりの所で、経営をしたい気持ちは判る。
しかしそれにも限度がある。
そしてその限度を決めるのは企業経営者の倫理観と叡知だと思う。
[問題意識のない経営者]
上記の問題を考えると、詰め込み教育で覚えることと、言われたこのをそのまま実施する才能に優れた人達が、一流大学から大企業に入り、規定の出世コースに乗って、特に問題意識もないままに、トップに登り詰めた経営者になった例が多いような気がする。
そのような日常作業の処理には優れてはいるが問題意識の乏しい経営者が今のような難しい局面になると、他社がやっていることをそのまま真似て、景気が悪くなればリストラ、下請けイジメをして購入費を削減、例に上げたようにその立場を利用してノウハウを取り上げ、非正規労働者を増員して平均賃金を下げたり、あわよくば残業代を払わないことなどに血眼になるのではないろうか。
優秀な、いや優秀でなくてもまともな考え方を持った経営者なら、如何に下請けの業者を育成し、その能力を向上させることで、自社だけでは出来ない総合的な競争力を高めようとすると思うのだが。
またその様な人達なら従業員をロボットにしたり、ただこき使うだけでなくて、その人達が持つ意識を高めや潜在能力を開発利用して、会社全体の能力アップを図ろうとすると思うのだが。
経団連の幹部の方達、なんとかならんのですかね。
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