[可哀相なマクドナルドの店長]
日本マクドナルドは全国の直営店の店長など約2000人について、管理職から外した上で、残業代を支払う方針を発表した。
21日付けの読売新聞によれば概要次のように報じている。
・記者会見した原田泳幸会長によると、職務手当をなくして残業代に振り向ける。
・店長の残業が少ない店ほど業績がいいという社内調査結果が出たとして、今後は残業を減らす方向で取り組む考えを示した。
・残業が増えた場合は「成果給」を減らすなどの調整を行うため、人件費の総額は現在と変わらないという。
一方これに対して
・同社店長らによる労働組合「日本マクドナルドユニオン」の若松淳志書記長は「店長は残業で人手不足を穴埋めしている。残業する店長は評価されないため、今後は残業を申告しない『サービス残業』が増えるのでは」との懸念を示した。
他社の動向
同じ問題を抱える流通、外食企業の中には、下記のように残業代を支払う代わりに、他の手当を削る方向に向かっているようだ。
・セブン―イレブン
管理職のまま店長手当を大幅削減し、残業代支払い
・ファミリーマート
店長を管理職から外し店長手当を削り残業代を支払い
・ローソン
店長を管理職から外し残業代を支払い
・すかいらーく
店長を廃止、残業代支払いで経費が増加しないよう人事制度の見直しを検討
これらの業界で共通して言えるのは、移動の激しい従業員の早期の戦力化のため彼らの言動を規定するマニュアル→従業員のロボット化→ロボットはいくら使っても草臥れないという企業の考え方→これを嫌った従業員の移動のサイクルだ。
優秀な一部の製造業のように、従業員を人間として扱う→その意欲の向上→自主管理活動による改善提案→業績の向上の日本型の人事管理とは対照的に、サービス産業の米国型の「人間の機械化」をベースにして方式で他社に勝つためには、終夜営業→従業員の酷使の道に走るのが落ちだ。
マクドナルドの人事管理
上記のように他社と比較してみると、職務手当て削減して、残業代支払いに加えて残業が増えた場合は「成果給」を減らすなど、もと店長の人達にとっては最悪の労働条件だ。
しかも店のイメージが営業成績に影響するサービス産業のトップが記者会見でこの様な発言をするなどの神経が疑われるが、これも米国本社の直接管理下にある同社のトップだからと思えば判る様な気もする。
然しそのような店長の意欲を無くしてしまう様な発言を聞いた同社の労働組合が、「残業する店長は評価されないため、今後は残業を申告しない「サービス残業」が増えるのでは」との懸念を示すのは当然だ。
「サービス残業」は、一般的な社員で法定労働時間を超えた場合、残業代の支払いを義務づけている労働基準法に明らかに違反するものだ。
[やや改善に向かった業界の動き]
然し最近のサービス産業の一連の動きには良い面もある。
それは従業員の残業についての意識が高まった事だ。
私は基本的には、少なくとも店長が管理職が否かは別にして、少なくとも従業員を指導する立場の人達への残業代支払いは良い事だと思う。
企業経営の合理化
何故なら残業代支払いという経費を要することが、企業にとって指導者や一般の従業員の合理化のインセンティブになるからだ。
言い換えれば会社は今までサービス残業をしていたのでついおろそかになっていた、指導者や一般の従業員の管理から眼を外せないというメリットがあるからだ。
その意味で労働組合の人達は、従業員のためにも、そして組合員が生活の頼りにしている企業の存続、繁栄のためにもサービス残業の実態から眼を離さないでいて欲しいものだ。
従業員の健康管理
また残業代支払いのための時間管理は、従業員の健康管理のために是非進める必要がある。
何故なら、企業の立場から言えば、とかく過重労働に陥り安い彼らが、そのために病気になったり、過労死したり、最悪の場合そのことに付いて彼らから裁判に持ち込まれれば、会社のイメージが一度に悪くり企業業績の悪化や、今のような採用される側の売り手市場では優秀な従業員が逃げる→更に従業員の酷使の悪循環に陥るからだ。
いやそれ以前に、従業員の健康管理は、会社の従業員に対する基本姿勢を示すものだからだ。
参照:マクドナルドへの地裁判決について
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