普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

呆れた加藤さんの拉致問題の発言

2008-07-09 10:01:28 | 政策、社会情勢

[呆れた加藤さんの発言]
 昨日の朝の読売新聞の小さな記事を読んで驚いた。
 自民党の加藤紘一元幹事長は7日夜、衛生放送「BS11」の番組で、2002年に帰国した拉致被害者5人を北朝鮮に戻さなかった政府の対応に関し、「当時の安倍晋三官房副長官を中心に5人を北朝鮮のに返すべきでないと言い(結局返さなかったが)、その辺が(今日)日朝間で(拉致問題の)打開が出来ない理由になっている。(あの時)ちゃんと北朝鮮に返す約束を守っていれば大きな展開になっている(筈だ)」と述べ安倍前首相の拉致問題対応を批判した。 (黒字は筆者の補足)
との記事だ。

 これが与党の元幹事長の公共放送での発言にしては余りにも軽率過ぎはしないのか。

 当時、確かに、私たち戦前派の年寄りの間では、「仮に北朝鮮が無法な拉致事件を起こしても、日本は北朝鮮との信義を守って返した方が良かった。それも黙って返すのではなくて、「国内では不法に拉致された家族を返すことに強い反対があったが、日本は信義を重んじる国なので返すことにした。」と北朝鮮への嫌味込め、そして同国に恩を着せた方が、日本が外交上優位に立てるし、北朝鮮も一旦認めた範囲の拉致家族は絶対に日本に帰国を許すのは間違い無いのだからと言う意見もあったが、年寄りの間だけの話で表に出る事はなかった。
 それは事、外交に関する事は、政府を中心とする一枚岩であたらねばならぬことを皆知っていたからだ。

[外交力としての世論]
 日本は民主主義の国だから、拉致家族を返すべきだった、返さなくてよかったなど自由に論議しても良い。
 然しこと外交に関しては、そのような議論は内々の事で、外向けの発言は慎重であるべきだ。
 何故なら、憲法で紛争の解決は武力を使えない日本は全て外交に頼るしかない。
 そしてそれに必要なのは、情報戦略と外交戦術と経済力、それと外交を後押しする国民の世論しかない。
 その世論も国内での議論は別として、相手国に対しては一本に纏まらねば、相手国から都合の良い所ばかりとり上げられ、各個撃破されるのが関の山だ。

 米国なら世論が割れても、強大な武力を(例え使わずとも)ちらつかせて相手国に圧力を加えることが出来るし、中国の様に言論の統制の国なら、政府の力で世論の統一も出来る、北朝鮮なら何が何でも国民を押さえ付けて、政府の思うが儘の外交戦略で米国のような超大国でも手玉にとることが出来る。

 日本は世論が割れてはただでさえ、弱い情報力、外交力で何も出来ない。
 拉致問題で言えば、唯一の頼りは経済力と米国だが、テロ国家指定解除になれば、経済制裁も使えず、米国も当てにできない。

[調子がおかしくなった加藤さん]
 かっては自民党の幹事長を勤め、次期の総裁の有力候補と目された、加藤さんがこんな常識的なことを知らない訳がないのに、何故一癖も二癖ある相手国を利するような発言を公共放送でしたのだろうか。
 当時の加藤さんはよそ目で見ても輝いていたが、テレビ朝日の「サンデープロゼクト」で田原総一郎さんに唆されて、すっかりその気になって所謂「加藤の乱」を起こしかけて失敗してから、可笑しくなってしまった。
 最近、北朝鮮問題で次第に表舞台に出るようになったが、「サンデープロゼクト」の失敗から「テレビでの発言には気を付けねば」などの反省はなかったのだろうか。

[呆れる政治家の対外発言]
 然しこのような対外向けの首を捻る様な発言をした人は加藤さんに限ったことではない。
・一昔の教科書問題で韓国や中国に「言いつけ」に言った政治家達。
・近頃ではどう展開するかも判らない外国人参政権法案成立を韓国まで言って大統領に約束した?と言われる小沢さん。
・産経記者の阿比留瑠比さんはそのブログ

  6日の日米共同記者会見での福田さんの話は、「日本は中国様に人権問題などとても言えた立場ではない」と言わんばかりの酷い発言をしたことを、記者会見を聞いていなかった同僚記者に話しても「まさか」となかなか信じてもらえなかったほどの馬か鹿かその眷属か、というべき言葉でした。
と怒っていた。

 日本の政治家たちは米国べったりの外交(極端に言えば外交でも何でもなく米国に追随しただけ)に馴れて、自分たちの発言が日本と相手国にどのような影響を考えもしないのだろうか。

 米国の弱くなり始めた立場や、北朝鮮政策の変更、今回のサミットで見られる米国の孤立化?などから日本の自立化や独自外交の必要性を説く人は多い。

 加藤さんの発言は、日本の自立のための外交力の強化はどうすべきかと言う点で考えさせられることが多いと思う。

このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。↓
人気ブログランキングへ
政治ブログへ