普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

金が全てで見失った行政の使命

2008-07-18 15:56:47 | 企業経営

[競争入札透明化の波紋]
 2~3日前のテレビで、宮崎県の東国原知事の談合防止政策や競争入札の透明化が思わぬ現象を産んでいると放送されていた。
 詰まり東国原さんが前知事の談合疑惑後で辞職の後を受けて、その撲滅を謳って当選し、それが着々の実行に移されたのは良いが、競争入札で受注した業者のいくつかが破産して、その受注した工事の一部に遅れが出ていると言うのだ。
 その極端な物の例として某河川の洪水対策工事を受注した二業者とも破産し、その後を受けた業者の内の一つもまたも破産して、台風時期を前にしているのに、工事が大幅に遅れ地もと住民や県議会から知事の責任の追求の話が上がっているそうだ。
 そして東国原さんが、競争入札制度の見直しの記者会見で失言をしたとしてまた叩かれているそうだ。

[財政優先政策で見失った本来の行政の使命]
地方自治体の仕事を生活補助費より少ない収入で働く人達
 私は4月22日の小泉さんがやってきたこと、またはし残したこと事
で、官庁の仕事の一部の競争入札による民営化に伴い、清掃などの一部の業種では企業間の競争激化のため、従業員の給与を法定の最低賃金まで下げる業者が現れ、官庁の仕事をするのに生活補助を受ける人より少ない収入で生活する従業員まで出てきた、と言うNHKの「クローズアップ現代」の報道を紹介した。

老人介護施設の危機
 また厚生労働省の老人介護費の削減政策で、老人介護施設で働く人の中で、特に結婚を前にして、働き続けたい意志はあっても、少ない給与と将来性のないことで、退職する人が他の業種の従業員の数倍にも上り、新しい施設への就職希望者が少ないなど深刻な問題になっているそうだ。

 ここで考えさせられるのは、政府や地方の行政機関が費用ばかりに拘って、その本来の目的を見失い掛けているのではないかと言う事だ。
 金は勿論大切だが、それ以上に大切なのは高齢化に伴って飛躍的にニーズが増大する老人介護施設の増強と、そこで働く人達を如何に確保するかであり、この目的と金とを如何に旨くバランスを保つかだ。
 地方の行政機関で言えば、その基本的な使命は市民の幸福の追求、市民生活の安定化である筈だ。
 財政だけのために、地方行政の執行を委託する地もと業者を、競争入札の名で締めつけ破産させて市民であるその従業員を苦しめたり、生活補助を受ける人より少ない収入の「ワーキングプア」の市民を作るなどの本末転倒の結果を産むことなど、自治体の使命では無いはずだ。

[私の提案]
 それで私は自分の現役時代に、ある企業の設備関係の工事の入札から監督まで当たった経験から談合なしの地方自治体での入札制度に付いて考えてみた。

地もと企業中心の中小工事の場合
・市の公共工事の将来の工事量の予想規模を業者に知らせ、縮小、撤退、合同など、過激な競争から共倒れにならない様な企業の自主的な運営方針決定の参考とさせる。
・地方での工事の主体は地もと業者、一部を外部からの業者とする。(例えば地もと8~9に対し外部 1~2など)
・地もと業者の入札の最低価格を決めそれ以下のものは排除するようにし、経営を無視したような無理な入札をしないようにする。(例えば予定価格の80%を限度とする。)
・基本的には価格競争だが、多分どの自治体でもやっている、技術力、ノウハウ、信頼性などに加えて、受注実績も考慮に入れるような配点をして入札業者を決定する。
 受注実績と言っても、地もと業者では実績の多い方が有利になる方向でなく、実績が少ない方が有利になる様な配点をする。
 それは
 実績が多い企業は技術力、ノウハウ、信頼性で既に加点されている。
 実績の少ない新しい企業や、目立たないが真面目に仕事をする企業にもチャンスを与える、
と言う二つの理由からだ。
 その配点により、過去の実績の多い優良企業が例えば、60~80%、新企業や目立たない企業が20~40%など、自治体ののぞむ企業の育成に繋がるような配点が望ましいと思う。
 勿論このような加点による入札企業の決定は完全な透明性が求められ無ければならない。

地もと企業では手が出せない大工事の場合
 地もと企業の利用予定計画を考慮する以外は完全な競争入札とする。

小さな組織での市場経済主義
 私の意見を一言で纏めれば、地方自治体では市場経済万能主義ではなり立たたず、宮崎県の例にみるように、地方の住民の生活の安定のため、また市民や県民を使う企業の育成など行政機関のコントロールが欠かせないという考え方だ。
 そしてグローバル化した今では、世界から見ればちいさな存在の日本でも、市場経済万能主義や、金が全ての考え方では国が成り立たず、政治の介入が必要なことは、日本で起こっている数々のことが証明していると思う。

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