27日のNHKの「インドの衝撃:第3回“世界の頭脳” 印僑パワーを呼び戻せ」 の放送は日本の実情に比して考えさせられることばかりだった。
その内容はNHKのガイドによると、
鉄鋼王と呼ばれるラクシュミ・ミタル氏、米シティグループの再建を託されたCEOのビグラム・パンディット氏、ともにインド生まれの「印僑」だ。
世界130カ国に暮らす印僑の数は合わせて2,500万人の内、最も多い250万人が暮らすアメリカでは、印僑の9人に1人が年収1億円以上、人口は0.5%ながら、全米の億万長者の10%を占める。数学や金融に強い特質ともに、彼らの力の源泉となっているのが、世界に張り巡らされた印僑のネットワーク。成功者が若い印僑に、国際ビジネスや起業のノウハウを伝授、成功の連鎖が起きている。
そして今、本国インドが急成長を遂げる中、アメリカの頭脳となってきた印僑たちが、相次いでインドに帰国し、新しい産業の担い手となりつつある。
優秀な起業家を生み出し続ける印僑ネットワークや、印僑のスーパー人材を狙ったヘッドハンティングの動きを追い、世界を揺るがす印僑パワーの核心に迫る。
と言うかなり印象的なものだった。
放送の中で特に印象に残ったこととそれに対する日本の現状について考えてみた。
・インドのエリート達の能力の源泉は、大学における数学教育と討議中心の教育から生れた科学的な分析力と人を説得する力の育成だ。
日本:さまよえる「博士」25%「浪人」(読売新聞)の報道によると、卒業後の就職に特に苦労しているのは文系の学生で、企業側も「専門知識で頭はこちこち」「社会常識や協調性に欠ける」として、その採用には消極的だそうだ。
優秀な学生が潰しが効かないからと言って、パートや派遣などで単純労働をするなど、今のような人材不足の日本で如何にも勿体ない話だ。
入学試験で数学が嫌いだから位の単純の理由での文科系の生徒の希望者が多いからと言って、卒業後使い物にならぬ人を育成するために、ただでさえ苦しい教育予算を割くなどは今までのやり方は改めるべきではないか。
国家の品格を書いた藤原正彦さんは、技術者はもっと文系の本を読むべきだと言ったが、文系の人達も数学などの科学知識も持たねば、今の時代を勝ち抜くことは出来ないのではないか。
そのためには文系の大学でも入試には数学もとりいれ、授業にも常識の範囲の科学気技術を教える必要があるのではないだろうか。
放送ではインド人のエリートの能力の一つに「討議中心の教育から生れた人を説得する力の育成」上げていたが、私はその討議で人を説得するに必要なのは、自分自身の考えをもつことと、人を納得させる独創力が生れたきたとおもう。
日本の大学でもかなり改善されたと思うし、言うは易く行うのは難いが、自分自身で物事を考え、新しい物や考えを創り出す能力の育成が大切だと思う。(*注記)
・インドの成長に伴い米国での多くの人材がUターンを始めている
・米国で成功した人達が祖国の発展のためのTIEと言う新規企業家支援のネットワークを作り活動をしている、
その活動は米国で活躍するCEO達参加によりコンベンションの開催、ベンチャー企業立ち上げのコンサルティングから、現在はファンドを作り企業立ち上げの投資まで行っている。
日本:今の日本は派遣労働者の増加→格差の発生→そのストレスから来る異常な事件の発生など社会の不安の原因となっている。
しかし派遣労働者問題に大きく関わっている企業側、そのまとめ役の経団連から日雇い労働の規制強化反対の声は聞こえても、今の社会不安の対策の声は全く聞こえてこない。
日本をリードする立場の経団連は日本社会のことをどのように考えているのだろう。
勿論、個々には、育英資金提供や環境問題に取り組んでいる企業もあるが、企業集団としての動きが殆ど見えないのは何故だろう。
・印僑の活動の源泉は祖国に対する愛国心だ。
とNHKは放送で言った。
しかし日本人の愛国心などNHKの放送では聞いたことがない。
これはNHKだけでなくて、マスコミを含むに日本全国の現象だ。
何しろ安倍さんが「国を愛する」ことを道徳に入れようとしたことが大問題になる国だ。
愛国心など口に出さずとも、日本という社会の為に何かをすることが如何に大切なこと誰でも知っている。
しかしスポーツを除いて国のためになることをやるに余り熱心でない人達の中には、単なる個人主義だけでなくて、国のためすること→軍国主義に繋がるのではないかと言う、自分で気づかないブレーキが働いているのではないだろうか。
愛国心を直ぐ軍国主義に繋げる、トラウマからもうそろそろ抜け出て良いと思うのだが。
・優秀な外国人の導入で発展を遂げた米国は、優秀なインド人の流出よる成長の鈍化を恐れて米国の大学へのインド人学生の入学希望者増加(そして卒業後の定住)のためのコマーシャルをインドで流しているほどだ。
日本:自民党の中川秀直さんが労働者1000万人導入の計画を発表して問題になっている。
私は従来からの政府の方針の優秀な、または一芸に秀でた外国人の導入には賛成だし、少子化の止まらない現状では積極的に進めるべきだと思う。
何故なら単純労働者の導入と違って優秀な人材の導入は社会格差が起こる可能性は少ないからだ。
そして混血によりより優れた日本人が増えてくる可能性もあるからだ。
しかし、問題は米国のコマーシャルを真似しても日本の大学に優秀な学生が集まる保証は何もない。
外国人学生誘致より先に魅力ある大学作りが先決だと思うのだが。
私はもとシンガポールにいた体験から、中国系やインド系の人達の優秀さ肌で感じて、もし中国が共産主義から、インドがカースト制度から脱却すれば、いずれも経済大国になるだろうと思っていた。
事実、中国は世界で無視出来ないさ存在だし、インドはカースト制の現状は知らないが中国に継ぐ大国になろうとしている
日本は後進国を指導すべきだと良く言われるが、逆に彼らかも学ぶことも多いことを忘れてはいけないと思う。
このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。↓
人気ブログランキングへ
政治ブログへ
*注記:
私は元技術者だが、英語の勉強のために文系の短期大学に入ったことがある。
教養科目の哲学の教師が講義の最初から最後まで「孔子曰く、とかカント曰く」ばかり並べ、教師自身の考えは一言も無かったのを不思議に思った記憶がある。
文学の講義では、夏目漱石やトルストイの研究も大切だが、それよりはそう言った文学を創り出し、社会にも大きな影響を与える作家をどうして育て上げる教育をしないのか、疑問に思ったことがある。
勿論、門外漢の人がちょっと文系の授業を覗いただけで的外れもあり、大学と言っても出来立てほやほやの大学だったので、今では私の母校も、その他の大学でもより優れた教育をしていると思うが、実利一辺倒の一技術者が当時の文系の授業を聞いたときの感想だ。