このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
日曜が休みの私は部活動へ出かける子供たちに朝食を出したあと、早めに家事を片付けて家を出た。
気分転換に喫茶店アルファヴィルでコーヒーとトーストでもとろうと思ってのことだった。
最近は私もすっかり常連になっていた。
お店にはオーナーと、アルバイトのIさんがいた。
愛らしい柄の黄色いスカート姿のオーナーは大きめのツリーへ取り付けた沢山のクリスマス飾りを手際よく整えていて、それだけで一幅の絵画のようだった。
カウンター内のIさんの本職は個人医院の医療事務で、ここは土日だけのダブルワークだ。
黒や紺のTシャツに黒いジーンズを好んではいていて、理事長いわく「スパイみたい」なショートカットの女性だった。
実家の青森から届いたリンゴを使ったフレッシュジュースをその場で作ってごちそうしてくれた。
リンゴと人参をすりおろし、ミネラルウォーターで好みの濃さに整えるだけなのだが、サラサラとしたシャーベット風の食感がさわやかで、眠気が覚めるように思えた。
「そうなんです、学生時代から朝にこれを作って飲むと気分がすっきりして。人参が入った分、はちみつやミルクを入れなくても甘いでしょ?」
確かに透明のグラスをかざしてみると、中身にはほんのりと人参の赤みがついていた。
クリスマスイヴを迎える準備を終えたオーナーが店内を見渡し、満足げな表情で言った、
「Tさん、理事長さんにお会いしたら、おいしいアップルパイが焼けてますよ、とお伝えしていただけません?
こないだいらした時に、アップルパイがマイブームになっていて、あちこち買い歩いているってお話しされていたので。」
いいですよ、と答えながら私はすかさずそれを一個注文し、上司より先に味わうことにした。
私たちは三人してくすくす笑った。